【公開日:2023.07.31】【最終更新日:2023.04.27】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
22MS1057
利用課題名 / Title
マグネシウムフェライ薄膜およびその置換系の強磁性に関する研究
利用した実施機関 / Support Institute
自然科学研究機構 分子科学研究所 / IMS
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マテリアルの高度循環のための技術/Advanced materials recycling technologies(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
室温強磁性、磁気光学素子、有機金属分解(MOD)法
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
安達 信泰
所属名 / Affiliation
名古屋工業大学先進セラミックス研究センター
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
我々は、有機金属分解(MOD)法を用いて、反強磁性体ZnFe2O4を部分的に逆スピネル構造にしてフェリ磁性化し、500 nm付近の短波長領域で、大きな磁気光学効果を示すことを報告してきた。しかしながら、合成条件を細かく変えて成膜したもののキュリー点がTc=190 K程度と低温でのみ強磁性を示し、スパッタ法等にあるような室温強磁性を示すまでにはいたっていない。そこで、室温強磁性を示すことで知られるMgFe2O4に関してMOD法による合成を試み、合成条件による磁気特性の違いについて評価を行った。この物質系も不完全な逆スピネル構造によりフェリ磁性が生じることから、室温強磁性の知見を得るために有効と考えた。
実験 / Experimental
薄膜は、有機金属溶液(高純度化学)をシリカガラス基板上にスピンコーティングし作製した。溶液滴下後は、100℃で乾燥し、300℃で仮熱処理を行った。必要な膜厚までこの工程を繰り返した後、熱処理結晶化させた。焼成温度は焼成温度を500℃から900℃、焼成時間は2時間として行った。作製した試料に対し、XRD(RIGAKU: RINT1000)による結晶の評価、FE-SEM(JEOL:JES7000F)による微構造観察、SQUID(Quantum Design: MPMS-7)による磁化測定測定を行った。
結果と考察 / Results and Discussion
焼成温度500 ℃以上でスピネル構造に由来するXRD回折ピークが得られ、900℃で鋭い回折ピークが観測された。飽和磁化Msと保磁力Hcは、焼成条件に強く依存する。Fig.1 に示すように4Kの温度において、500℃付近の焼成温度で作製した膜では、Msが小さいもののHcが2 kOeを超える大きな値を示した。逆に900℃付近の焼成温度で作製した膜では、Msが40 emu/gと増大したが、Hcは200 Oeと減少した。また、これらの試料はすべて、室温においても磁気ヒステレシス曲線を示し、強磁性の振る舞いを示した(Fig.1)。8面体配位のBサイトにあるFe3+のみの存在では、反強磁性を示すはずだが、ZnFe2O4と同様に一部が4面体配位のAサイト位置することにより強磁性成分が現れ、焼成温度が高いほどAサイトの占める割合が大きくなると考えられる。しかしながら、zero-field coolingとfield-coolingの磁化の温度依存性を測定すると、150 K以下では異なった挙動を示し、何らかの磁気転移があり、A、 Bサイト割合だけでは説明できないことから今後の詳細な評価が必要に思われる
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
Fig.1 Magnetic hysteresis curves of MgFe2O4
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- (1) 安達信泰・近藤達也、2023年日本セラミックス協会年会、2023年3月9日
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件