【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.06.22】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23NU0063
利用課題名 / Title
機能性磁性材料の創製
利用した実施機関 / Support Institute
名古屋大学 / Nagoya Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
磁性ナノ粒子,磁性材料,集積構造,異方性,電子顕微鏡/ Electronic microscope,ナノ粒子/ Nanoparticles
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
岡 智絵美
所属名 / Affiliation
名古屋大学大学院工学研究科
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
塩嶋巧,佐野光哉,橋本空磨,松下昇太郎,岡智絵美
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
NU-103:高分解能透過電子顕微鏡システム
NU-105:バイオ/無機材料用高速FIB-SEMシステム
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
磁性ナノ粒子は交流磁場下で発熱する特性を有し,がん治療への応用が期待されているが,発熱効率向上が課題である.本研究では,形状磁気異方性から球状粒子よりも高い発熱効率が期待できる,磁性ナノ粒子高アスペクト比集積構造体に着目した.磁性ナノ粒子を鎖状に配列させた状態でシリカ被覆を行い,集積構造体を大気圧,室温条件で作製する方法を考案し実験を行った.
実験 / Experimental
合成した磁性酸化鉄ナノ粒子 (粒子径22 nm) をシリカ前駆体を含む溶液に分散させ,Meritt 4 coil を用い20 mTの磁場を1時間印加し,集積構造体作製を行った.次に,ナノスケールの構造体作製に向け,磁性ナノ粒子を分散性の高いクエン酸被覆磁性酸化鉄ナノ粒子 (粒子径26 nm) に変更し,磁場印加時間1分での作製を実施した.更に,磁場印加時間と構造体の平均長さの関係を明らかにするために磁場印加時間を変更し、TEM観察用の試料をバイオ/無機材料用高速FIB-SEMシステム(NU-105 : NX-5000)で作製した.最後に,得られた構造体の磁気特性を評価した.構造体のTEM観察にはと高分解能透過型電子顕微鏡システム(NU-103 : JEM-2100F/HK)とJEM-2100Plusを使用した.
結果と考察 / Results and Discussion
磁性酸化鉄ナノ粒子 (粒子径22 nm) を用い,磁場強度20 mT,磁場印加時間1時間とした実験では,長さ約30-200 μmの磁性ナノ粒子高アスペクト比集積構造体が得られた.このことから,微細化は必要であるが,本作製方法により磁性ナノ粒子高アスペクト比集積構造体が作製可能だと確認できた. ナノスケールの構造体作製に向け,磁性ナノ粒子を分散性の高いクエン酸被覆磁性酸化鉄ナノ粒子 (粒子径26 nm) に変更し,磁場印加時間1分での作製を行った結果,平均長さ299 nm,径156 nm程度である磁性ナノ粒子高アスペクト比集積構造体が得られ,目的とするナノスケールサイズの構造体を得ることに成功した.また,磁性ナノ粒子高アスペクト比集積構造体の長さは,磁場印加時間の増加とともに増加することがわかり,磁場印加時間により磁性ナノ粒子高アスペクト比集積構造体の長さを制御可能であることが明らかになった (Fig. 1).また,集積構造体形成前の磁性ナノ粒子の凝集状態が集積構造に大きく寄与することを明らかにした. 最後に,M-H曲線の測定結果から,磁性ナノ粒子高アスペクト比集積構造体の磁化率は集積構造を形成していない磁性ナノ粒子よりも大きいことがわかり,集積構造形成による発熱効率向上が期待できることがわかった.
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
Fig.1 磁場印可時間480sで作製した構造体のTEM画像
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
本研究の一部はJSPS科学研究費助成事業若手研究 (JP23K13648),公益社団法人日比科学技術振興財団の助成を受け実施されました.
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
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Takumi Shiojima, One-dimensional assemblies of magnetic iron-oxide nanoparticles, Japanese Journal of Applied Physics, 63, 03SP77(2024).
DOI: DOI:10.35848/1347-4065/ad26bd
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- T. Shiojima, J. Sakurai, S. Hata and C. Oka, The 36th International Microprocesses and Nanotechnology Conference, Nov 12-17, 2024.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件