利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.05.08】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23UT1218

利用課題名 / Title

核酸バイオセンサの開発

利用した実施機関 / Support Institute

東京大学 / Tokyo Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)次世代バイオマテリアル/Next-generation biomaterials

キーワード / Keywords

アクチュエーター/ Actuator,MEMS/NEMSデバイス/ MEMS/NEMS device,センサ/ Sensor,バイオセンサ/ Biosensor,スパッタリング/ Sputtering,膜加工・エッチング/ Film processing/etching


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

坂元 博昭

所属名 / Affiliation

福井大学学術研究院工学系部門繊維先端工学分野

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

坂元博昭

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

天谷諭

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

UT-606:汎用平行平板RIE装置
UT-711:LL式高密度汎用スパッタリング装置(2019)


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

ウイルス検査は、高感度検出が可能なPCRが用いられているが、精度・煩雑な操作が課題である。そこで、PCR不要な高精度かつ高感度なウイルス検出技術が求められている。本研究室では、これまでに標的ウイルスRNAに対し相補的な光架橋性人工核酸プローブ修飾磁気粒子を開発し、高効率なRNA抽出と電気化学的検出を提案してきた。しかし、電気化学的検出においてウイルス検査実用レベルの感度には到達できていなかった。低感度となる原因の1つとして、本研究では、電気化学測定時における溶液中の検出物質の拡散に目を向けた。電気化学的反応は、電極表面へ反応物質が接触し、電気信号を取得することで起こる。しかし、マイクロサイズであるプローブ修飾磁気粒子は溶液中の拡散が極めて遅く、電気化学的検出の律速となっていると考えられる。そこで、本研究では弾性表面波 (SAW:英語正式名) による微量液滴撹拌技術に着目した。SAWとは、圧電基板へ交流電圧を印加し、基板を高速に振動させることで生じる表面波である。この表面波を制御することで微量液滴を撹拌することが可能となる。SAWによる溶液撹拌技術は、機械的に制御できるため、電気化学的検出において電極表面への拡散を高め (Fig.1) 、感度・再現性・精度も高めることができることが期待される。そこで、新型コロナウイルス由来のRNAを標的とした光架橋性人工核酸プローブ修飾磁気粒子を作製し、SAWによる撹拌と電気化学計測システムを融合した高感度なウイルスRNAセンサの構築を目的とした。

実験 / Experimental

1260 bp の新型コロナウイルスの塩基配列を標的RNAとし、光架橋性人工核酸プローブ修飾磁気粒子を添加し、45 ℃ で90分間ハイブリダイゼーションさせた。その後、360 nm の波長の光を1分間照射することで、標的RNAとプローブとの間に共有結合を形成させた。そこにメディエーターとしてメチレンブルー (MB) を添加し、インターカレートさせ電気化学測定用サンプルを作製した。SAWは、Burst波、サイクル数2000、周波数19.1 MHz 、振幅130 mVpp とした。電気化学測定は3電極系で行い、-0.38 V (vs. Ag/AgCl) の定電位印加を行いながら電流を測定した。まず、緩衝液のみをSAWを発生させず電流測定し電流が一定となった後、測定サンプルを添加しSAW発生前後の電流変化を比較した。

結果と考察 / Results and Discussion

標的RNAの濃度が、0~1 µM のサンプルについて、電気化学測定した結果、RNA濃度に応じて電流が増加していることが確認された (Fig.2) 。また、SAWによる撹拌を行うことで電流がさらに増大した。以上の結果から、SAWによる撹拌を用いることで電気化学的反応を促進し、高感度化が可能であることが示唆された。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


Fig. 1 Schematic illustration of SAW device



Fig. 2 Comparison of sensor response by SAW


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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