利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.07.31】【最終更新日:2023.05.16】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22MS1054

利用課題名 / Title

二酸化炭素還元を指向した金属錯体の合成と構造解析

利用した実施機関 / Support Institute

自然科学研究機構 分子科学研究所 / IMS

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マテリアルの高度循環のための技術/Advanced materials recycling technologies(副 / Sub)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion

キーワード / Keywords

二酸化炭素還元,脱炭素,触媒,金属錯体


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

永田  央

所属名 / Affiliation

名城大学理工学部応用化学科

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

岡野芳則

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

MS-205:単結晶X線回折(CCD-1)
MS-206:単結晶X線回折(CCD-2)


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

本研究では、二酸化炭素を還元して有機化合物を得るため、その触媒となる金属錯体を合成し、構造・反応性について追求するものである。前年度後期の施設利用で、ピリジン系多座配位子を持つ銅錯体について興味深い挙動が見られたため、今年度も継続して研究を進めている。

実験 / Experimental

【所属機関で実施】(1) 2,2’-ビピリジンの6-位、6’-位にそれぞれピリジルチオ基を結合した配位子(BPySBPy)を合成し、塩化銅(II)、過塩素酸銅(II)と反応させて錯体を合成した。(2) N上にアルキル基を持つジピコリルアミン誘導体を合成し、塩化銅(II)と反応させて錯体を合成した。(3) これらの錯体の単結晶を蒸気拡散法で得た。【支援機関で実施】 分子科学研究所機器センターの Rigaku MERCURY CCD-1/CCD-2 装置を用いて、-100℃で単結晶X線構造解析測定を行った。X線は 50 mV/100 mA の MoKα線を用い、CCDの露光は10〜15秒とした。解析にはCrystalStructure ソフトウェアおよび SHELX ソフトウェアを用いた。

結果と考察 / Results and Discussion

(1) BPySBPyと過塩素酸銅(II)から得た錯体は、歪んだ四面体構造を持っていた。前年度に同じ錯体の構造解析を行ったが、その時は結晶溶媒としてアセトニトリル/MTBEを用い、今回はDMF/MTBEを用いた。前回はアセトニトリル一分子が結晶中に含まれ、今回は溶媒分子は見られなかった。しかし、どちらの構造もR値が20%程度で、データの質は良くなかった。顕著なディスオーダーなどの兆候は見られなかったため、測定上の問題が発生していた可能性が高い。成果発表に向けて、改めて注意深く実験を行う必要がある。(2) BPySBPy と塩化銅(II)から得た錯体は、塩化物イオンが1個配位した5配位構造であった。また、CuCl42 が対アニオンとして存在していることがわかった。この対アニオンの存在は、錯体の溶液状態での電気化学挙動を複雑にしている可能性がある。なお、R値は3.3%と良好であった。(3) N-t-ブチルジピコリルアミンと塩化銅(II)の錯体は、塩化物イオンが2個配位した5配位構造であった(右図)。2つのピコリル基は結晶学的には非等価だが、ほぼ鏡面対称の関係にあることがわかった。一方、所属機関で実施した銅(I)錯体のNMR測定の結果からは、2つのピコリル基が非対称に配位していることが示唆されている。I価/II価の変換に伴う構造変化について、より詳しく検討する必要がある。 この構造のR値は4.6%と良好であった。また、結晶溶媒としてアセトニトリル/MTBE, DMF/MTBEを用いた2つの結晶について、同一の構造が得られた。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations



その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

装置利用にあたりご指導・ご協力いただいた、分子科学研究所の岡野芳則氏および機器センターの職員各位に感謝いたします。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

印刷する
PAGE TOP
スマートフォン用ページで見る