利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.07.31】【最終更新日:2023.04.14】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22MS1053

利用課題名 / Title

液相合成法を用いたダイヤモンド様炭素膜の作製

利用した実施機関 / Support Institute

自然科学研究機構 分子科学研究所 / IMS

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)計測・分析/Advanced Characterization

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マテリアルの高度循環のための技術/Advanced materials recycling technologies(副 / Sub)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials

キーワード / Keywords

ダイヤモンドライクカーボン, 液相合成, ナノダイヤモンド,資源代替技術,ナノカーボン


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

橋本  雄一

所属名 / Affiliation

大同大学工学部電気電子工学科

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

西村 真弓

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

売市 幹大

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

MS-225:顕微ラマン分光


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

近年、ダイヤモンドとグラファイトの骨格構造を有するダイヤモンド様炭素膜(DLC:Diamond-Like Carbon)膜は、高硬度・低摩擦係数・高耐摩耗性・高生体親和性・高ガスバリア性などの性質を持つため、工具やPETボトルの内壁膜、自動車部品のほか、シリコンに替る新しい半導体用基板や電子放出材料として注目されている。 本研究では、これまで殆ど検討がなされていない新たなDLC成膜法の試みとして、主としてメタノール(MeOH)を用いた液相合成法(電気分解法)によりDLC膜の成膜実験を行い、得られた膜についてラマンスペクトルを評価した。

実験 / Experimental

陽極は炭素板を、陰極としてp-Si基板を用いた。p-Si基板は、5%フッ酸水溶液で酸化膜を除去した後、基板表面を大気中で誘電体バリア放電により10分間処理を行った。その後、p-Si基板表面上に3μm又は6μmのダイヤモンドペースト(DP-Paste M, Struers)を薄く塗布し、図1に示す電極配置でテフロン板上に保持した。次いでビーカにMeOHとアンモニア水の混合溶媒を入れ、電極間距離2 mm、溶媒温度25℃、印加電圧10 V、成膜時間75時間で電気分解を行った。その後、p-Si基板を取り出し、基板上の堆積物をレーザーラマン分光光度計(Renishaw Invia Reflex,測定条件は532nm, 2 mW, 10s, 1回)を用いて評価した。

結果と考察 / Results and Discussion

成膜後のp-Si基板上の光学顕微鏡による観察では、2種類のペーストを塗布したいずれの場合においてもダイヤモンドペースト粒子の他に数十μmの堆積物が認められた。また、3μmのダイヤモンドペーストを塗布したp-Si基板表面上堆積物からは1580 cm-1近傍に非晶質炭素に由来するブロードなピーク(G-band)と1331 cm-1のダイヤモンド由来のピークを含むブロードなピーク(1360 cm-1)が観測された。一方、6μmのダイヤモンドペーストを塗布したp-Si基板表面上堆積物からはダイヤモンド由来のピークは認められず、1580 cm-1のブロードなピーク(G-band)と1360 cm-1にブロードなピーク(D-band)が観測された。これらの差異が生じた原因を更に調べるため粒径の異なるダイヤモンドペーストを用いて成膜実験を行った。これらの膜のラマンスペクトルを評価した結果、サブミクロンのペースト(0.25μm)と15μmペースト(15μm)の堆積物では、6μmのダイヤモンドペーストと同様の結果が得られたのに対し、1μmのダイヤモンドペーストを用いた場合は、1331 cm-1のダイヤモンド由来のピークを含む1360 cm-1のブロードなピークと1580 cm-1近傍にブロードなピーク(G-band)が観測された。これらの結果は、1331 cm-1のダイヤモンド由来のピークを有する堆積物が成膜されるためには、最適な大きさのペースト(1~3μm)が必要であることを示唆しているものと考えられる。 今後は、得られた数十μmの堆積物の詳細な構造解析を中心に検討を行う予定である。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


図1 DLC作製の概略図


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

ラマンスペクトルは、名古屋大学の西村真弓氏に測定頂いた。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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