【公開日：2024.07.25】【最終更新日：2024.06.23】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23NU0438
利用課題名 / Title
ナノダイヤモンドによる脳オルガノイド温度計測
利用した実施機関 / Support Institute
名古屋大学 / Nagoya Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】（主 / Main）計測・分析/Advanced Characterization（副 / Sub）-
【重要技術領域 / Important Technology Area】（主 / Main）次世代バイオマテリアル/Next-generation biomaterials（副 / Sub）-
キーワード / Keywords
蛍光ナノダイヤモンド,FND,光検出磁気共鳴活性,ODMR,細胞内温度,光学顕微鏡/ Optical microscope
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名（課題申請者）/ User Name (Project Applicant)
揚妻 正和
所属名 / Affiliation
量子科学技術研究開発機構
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
嶋田泰佑,奥田泰生
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type
（主 / Main）機器利用/Equipment Utilization（副 / Sub）-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
NU-026：光検出磁気共鳴活性(ODMR)と蛍光寿命測定可能な高速多光子共焦点レーザ顕微鏡
報告書データ / Report
概要（目的・用途・実施内容）/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
本研究では、生化学的な刺激に対して生じる脳オルガノイドの温度変化を解析して、脳オルガノイドの生理的な応答プロセスを理解することを目的とする。そのために、蛍光ナノダイヤモンド（FND）を脳オルガノイドに世界に先駆けて展開して、光検出磁気共鳴活性(ODMR)の測定が可能な高速多光子共焦点レーザ顕微鏡を用いてオルガノイドを構成する細胞の細胞内温度計測システムを構築した。当該システムを用いて脳オルガノイドに埋め込んだFNDsをODMR測定することにより、ホルモン刺激した際の脳オルガノイドの細胞内温度の変遷をモニタリングした。
実験 / Experimental
振とう培養することにより幹細胞から構築した脳オルガノイドにFNDsを取り込ませた。細胞内温度計測システムを用いて脳オルガノイドに埋め込んだFNDsをODMR測定して、フィッティングに基づき算出したFNDsの磁場共鳴周波数から細胞内温度を解析した。5分間隔で当該計測を繰り返すとともに、計測開始から15分後にホルモン含有・ホルモン未含有培地による生理的な刺激を行った。
結果と考察 / Results and Discussion
まず、FNDsを埋め込んだ脳オルガノイドからODMRスペクトルを取得可能であることを確認した。次に、当該スペクトルを継時的に取得してFNDsの中心周波数から細胞内温度を解析したところ、ホルモン未含有培地による刺激でも細胞内温度が変動することが判明した。また、ホルモン含有と非含有の培地を比較した際、生理的に刺激した際の細胞内温度の変化に違いを認めることができなかった。
ホルモン未含有培地の刺激で細胞内温度が変動するのは、ODMRスペクトルから細胞内温度を解析する際のフィッティング精度が低いことに由来していると想定され、フィッティング精度向上のためにODMR測定条件の最適化が必要であるのが現状である。このような現状のため、ホルモン含有培地での刺激で生じると想定される温度変化が、フィッティング精度に起因する温度変動に埋もれてしまったと考えられる。
以上から、本研究の推進においてODMRの測定が可能な高速多光子共焦点レーザ顕微鏡は有用であるが、フィッティング精度向上のための測定条件の最適化が必要であることを確認した。今後は、FNDsの埋め込み量を検討して、上記の最適化を進めていく予定である。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項（参考文献・謝辞等） / Remarks(References and Acknowledgements)
本研究の一部は、文部科学省マテリアル先端リサーチインフラ事業の支援により、名古屋大学で実施されました。感謝申し上げます。
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング（DOIのあるもの） / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications：0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents：0件