【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.06.25】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23NU0436
利用課題名 / Title
セメント硬化体の炭酸化進行を評価する研究
利用した実施機関 / Support Institute
名古屋大学 / Nagoya Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)計測・分析/Advanced Characterization
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マテリアルの高度循環のための技術/Advanced materials recycling technologies(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
電子顕微鏡/ Electronic microscope,核磁気共鳴/ Nuclear magnetic resonance,資源循環技術/ Resource circulation technology
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
丸山 一平
所属名 / Affiliation
名古屋大学大学院 環境学研究科
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
林 育生,鳥居 実恵
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub),技術補助/Technical Assistance
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
NU-004:走査型電子顕微鏡(SEM)
NU-005:NMR装置群
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
走査型電子顕微鏡を用いて、炭酸化したセメントペーストについて、粉砕後の表面観察を行い、セメントペースト破断面の炭酸カルシウムの析出の様子(主に析出する結晶多形、析出の程度)を確認した。また、核磁気共鳴吸収装置を用いて、炭酸化前後のセメント中のSiの吸収スペクトルを得ることで、化学シフトの差異からセメントペーストに含まれるケイ酸カルシウム水和物(C-S-H)の炭酸化による構造変化について分析を行った。
実験 / Experimental
走査型電子顕微鏡相対湿度60%、二酸化炭素濃度1%雰囲気下で炭酸化させたセメントペーストを90μmに粉砕を行い、真空乾燥を行った。真空乾燥後の試料をカーボンテープに載せ、オスミウムコーティングを施した後に、走査型顕微鏡(JEOL, JSM-7500FA)を用いて試料の観察を実施した。核磁気共鳴吸収装置 相対湿度60%、二酸化炭素濃度1%雰囲気下で炭酸化させたセメントペーストを90μmに粉砕を行い、105℃真空乾燥を行った。試料をサンプル管に充填し、29Si MAS NMR (Bruker BioSpin DSX 400 spectrometerを用い、測定を行った。磁場強度は、9.4T、装置の回転数は5 kHzとし、標準試料にはテトラメチルシランを用いた。得られたスペクトルは標準試料で構成を行って、化学シフトを算出し、解析ソフトdmfitを用いてスペクトルのデコンボリューションを実施した。
結果と考察 / Results and Discussion
走査型電子顕微鏡の結果について、図1に示すように、セメント粒子表面に小さく、丸みを帯びた粒子が存在していることが分かる、これが炭酸カルシウムであると考えられる。その炭酸カルシウムの中でも楕円球状のバテライトであると考えられる。粉末X線回折の結果からもバテライトのピークが確認されており、走査型電子顕微鏡のデータはX線回折のデータと定性的に一致する。また、図左側には平板状の水酸化カルシウムと思われる鉱物の表面が見えており、その表面に炭酸カルシウムが析出していることからも、試料の炭酸化の様子が確認できる。 29Si MAS NMRの結果について、図2に示すように、炭酸化前後のスペクトルを比較すると、炭酸化前はスペクトルの範囲がおよそ70-90ppmであるのに対して、炭酸化後のスペクトルは範囲が70-130ppmまでであり、炭酸化によってピーク範囲が変化していることがうかがえる。このピーク変異の変化は、炭酸化によってSi原子の結合状態が変化したことによるものである。セメントペースト中のC-S-Hに含まれるSi-O結合が通常Q1,Q2であるのに対して、炭酸化によってCaが消費される過程で、Si-O結合がQ3,Q4へと変化したため、ピークの範囲が変化しており、dmfitのフィッティング結果からもQ3,Q4の結合が出現しているという結果が得られた。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
図1 セメント粒子の二次電子像
図2(a) 炭酸化前のセメント硬化体のNMRスペクトル
図2(b) 炭酸化後のセメント硬化体のNMRスペクトル
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件