利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.06.18】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23NU0428

利用課題名 / Title

蛍光性シリカ球の細胞内取り込み挙動の粒径依存性

利用した実施機関 / Support Institute

名古屋大学 / Nagoya Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)次世代バイオマテリアル/Next-generation biomaterials(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

粒径分布評価, ゼータ電位評価,バイオアダプティブ材料/ Bioadaptive materials,DDSマテリアル/ DDS material,生体イメージング/ In vivo imaging


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

鈴木 一正

所属名 / Affiliation

名古屋大学 大学院工学研究科

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

尾野将也

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

NU-013:動的光散乱(DLS)


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

ナノからマイクロスケールの粒子状物質の細胞内取り込み挙動は、粒子状物質の物理化学的性状(サイズや形状、表面電位等)に依存する。しかし、粒径と、細胞内での粒子の分布する部位(核、ミトコンドリア等の細胞小器官)との関連は未解明である。これを解明できれば、特定の細胞小器官を狙った薬剤送達の実現やナノ粒子の毒性の原理理解に繋がる。この関係性の解明には、粒径制御が容易で、かつイメージング可能な蛍光物質を内包した粒子作製が必要である。そこで本研究では、粒径制御可能なStöber シリカ球と、炭素を主成分とし様々な親水性官能基を有する蛍光性ナノカーボンの複合化に着目した。これまで、構造的に安定な蛍光性ナノカーボン/シリカ複合球状ナノ粒子を得られるプロセスは見出されていない。本研究では、細胞内取り込み挙動観察に適した粒子として、ナノカーボンの固定化により蛍光を示すシリカ球を想定し、その合成条件の探索を目的とした。ナノカーボンとシリカ球の固定化に際し、静電的な相互作用で互いが接近しながら、ボトムアップのシリカ球形成の重縮合プロセスで取り込みが期待されるため、ナノカーボン蛍光分子およびシリカ球のゼータ電位を調べるために、本設備を利用した。

実験 / Experimental

蛍光性シリカ球作製のため、イメージングに利用可能な生体親和性のある蛍光性分子(ナノカーボン)を作製し、その水分散液におけるゼータ電位をZetasizer Nano ZSを用いて測定した。また、水分散蛍光分子をシリカ球合成途中に混合し、静電相互作用による蛍光分子を取り込んだシリカ球を作製した。得られたシリカ球分散液についても同様の装置にてゼータ電位を測定した。

結果と考察 / Results and Discussion

ナノカーボン分散液、シリカ球分散液、ナノカーボン含有シリカ球分散液を作製し、室内灯またはUV照射下で外観を観察した(Fig. 1)。ナノカーボン含有シリカ球(Fig. 1(c))は、シリカ単体(Fig. 1(b))よりもナノカーボン分散液(Fig. 1(a))に類似した青色の蛍光を示し、シリカ内への含有が強く示唆された。用いた蛍光性ナノカーボンは水中で正のゼータ電位を有し(+3.5 mV)、シリカは負のゼータ電位を示したことから、静電引力によってナノカーボンがある程度分散した状態でシリカ内に取り込まれたものと考えられる。ナノカーボン含有シリカ球の粒径は150-250 nmの範囲で制御された。今後さらに粒径の制御範囲を広げながら、細胞内に取り込んだ際の挙動や分布を本シリカ球を用いたバイオイメージングにより観察していく。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


Fig. 1 Appearance of dispersions under daylight (left) and 375 nm UV light (right) for different samples: a) Nanocarbons dispersion, b) silica spheres without nanocarbons and c) silica spheres containing nanocarbons.


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 尾野将也,鈴木一正,松川祐子,大槻主税,”細胞内取り込み挙動の解明に向けた蛍光性カーボンドット含有シリカ球の創製”,第25回生体関連セラミックス討論会,講演番号O-3,令和5年12月1日.
  2. 尾野将也,鈴木一正,松川祐子,大槻主税,”蛍光性カーボンドットを含有したシリカ球の粒径制御および細胞毒性評価”,日本材料学会東海支部第18回学術講演会,講演番号4,令和6年3月8日.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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