【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.06.20】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23NU0414
利用課題名 / Title
不織布を用いた金属イオンの回収
利用した実施機関 / Support Institute
名古屋大学 / Nagoya Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials(副 / Sub)マテリアルの高度循環のための技術/Advanced materials recycling technologies
キーワード / Keywords
分離・精製技術/ Separation/purification technology,ナノワイヤー・ナノファイバー/ Nanowire/nanofiber
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
向井 康人
所属名 / Affiliation
名古屋大学大学院 工学研究科
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
村瀬 智紀,岳 云鵬
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
貴金属の一種である金は、古来より宝飾品や通貨として高い価値をもつ。現代では加工のしやすさ、高い導電性に着目され、電子部品等としての需要も高まっている。しかしながら埋蔵量の70%以上は採掘済みと考えられているため、今後は都市鉱山中の金を資源として有効活用する必要がある。我が国の都市鉱山に含まれる金の埋蔵量は、世界の埋蔵量に対する約16.3%に匹敵し、都市鉱山という観点からは世界一といわれている。また、金品位も132.2 g/t(通信機械器具)と世界有数の金含有量を誇る菱刈鉱山の約30∼40 g/tと比べても高く、高品位であると言える。
都市鉱山からの金の回収は、酸性水溶液で浸出させた塩化金酸(HAuCl4)を分離・回収後、還元させて金コロイドとする方法が有効と考えられている。そこで本研究では、金イオンに対してアフィニティをもつナイロンと超高比表面積をもつナノファイバー不織布に着目して、簡便かつ安全に金を回収するプロセスと最適条件の検討を試みた。
実験 / Experimental
金イオンの選択吸着性を調べるために多成分混合系での実験を行い、その後最適条件の検討のため金イオン単成分系での実験を行った。実験に用いたナイロンナノファイバー不織布のSEM画像を図1に示す。不織布を所定の大きさに切り取り、濃度C[mg/L]、pHを調整した各金属イオンを含む酸性水溶液に入れて一定温度T[K]で6 時間振盪させた。実験後における溶液中の各金属イオン濃度を紫外可視分光光度計、またはICP発光分光分析装置を用いて測定し、実験前後の濃度差から不織布の単位質量当たりの吸着量q[mg/g]を算出した。
結果と考察 / Results and Discussion
廃棄電子部材の溶解液を模したAu、Pt、Cu、Alの金属イオンがそれぞれ50 mg/Lずつ含まれる多成分混合溶液を調製し、ナイロンナノファイバー不織布による吸着実験を行った。実験前後の各種金属イオン濃度変化を図2に示す。図2より種々の金属イオンが存在する条件下においても、金イオンに対して特に強い吸着を示すことがわかった。また白金イオンの減少も見られることから、他のレアメタルに対するアフィニティがあることも示唆された。
次に金イオン単成分系における実験結果を示す。pHを0に調整した酸性水溶液中における種々の温度条件 303、313、323 Kでのそれぞれの吸着等温線、すなわち金イオン吸着量qAu [mg/g] 対 平衡濃度Ce [mg/L]を図3に示す。303 Kにおけるフィッティング手法の比較を行うと、Langmuir (R2
= 0.9922) > Freundlich (R2 = 0.9311)であることから、Langmuir型の吸着が起こっていることがわかり、この温度における飽和吸着量qs,Au [mg/g]を計算すると、196.7 mg/gとなった。また、条件ごとの実験値を比較すると、液温が低いほど吸着量が増加する傾向にあることがわかった。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
図1 ナイロンナノファイバー不織布
図2 各種金属イオンの濃度変化
図3 金イオンの吸着等温線
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
本研究は公益財団法人日比科学技術振興財団の令和5年度研究開発助成を受けて実施した。
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- Tomoki Murase and Yasuhito Mukai, "Selective Adsorption of Au(Ⅲ) from Acidic Aqueous Solutions by Nylon Nanofibers", 12th International Conference on Separation Science and Technology (Okinawa, Japan), 2023. 11. 17
- 村瀬智紀, 向井康人, "ナイロンナノファイバー膜を用いた酸性水溶液中の金イオンの吸着操作における最適条件の検討", 化学工学会 第54回秋季大会(福岡), 2023. 9. 13
- 村瀬智紀, 向井康人, "都市鉱山からのAu回収を目的としたナイロンナノファイバーファブリックの応用と再生利用", 繊維系三学会東海支部共催 第36回東海支部若手繊維研究会(岐阜), 2023. 12. 9
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件