利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.06.21】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23NU0410

利用課題名 / Title

ASR排ガスからオレフィンを合成する触媒及びシステムに関する共同研究

利用した実施機関 / Support Institute

名古屋大学 / Nagoya Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マテリアルの高度循環のための技術/Advanced materials recycling technologies(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

電子顕微鏡/ Electronic microscope,X線回折/ X-ray diffraction,資源循環技術/ Resource circulation technology


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

中村 真季

所属名 / Affiliation

名古屋大学大学院 工学研究科

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

WASNIK Chopendra ganeshpal,Koyo Norinaga

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

NU-002:X線粉末回折装置
NU-004:走査型電子顕微鏡(SEM)


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

主要な温室効果ガスであるCO2の大気中濃度が急速に上昇し、地球温暖化やさまざまな環境問題を引き起こしている。CO2の効率的な循環と利用は、現在の環境状況において非常に重要である。発熱プロセスであるメタン化は、CO2を効果的に利用するための重要な戦略として浮上している。このため、広い温度範囲(250~550℃)にわたって高い活性とメタン選択性を維持する触媒の合理的な設計が強く求められている。そのため、大気圧下において500℃でも安定した反応が期待できる触媒が求められている。本研究では、卓越した熱伝導率で知られるSiCと、CO₂との親和性を特徴とするCeO2を基材とするバイメタル触媒について検討するため、SEMおよびXRDを用いた実験およびH2-TPR, CO2のメタン化反応実験を行った。

実験 / Experimental

湿潤共含浸法により単金属および二元金属触媒の調製を行った.Ni(II)硝酸塩六水和物と塩化Ru(III)水和物を用い,二次金属の添加にCo(II)硝酸塩六水和物と塩化Mn(II)四水和物を利用した.前処理を施した担体であるCeO2とSiCを,適切な濃度の硝酸Ni,塩化Ru,二次金属の硝酸塩または塩化物塩の混合水溶液に,室温で浸漬させた.続いて,これらを超音波発振器を用いて30分間処理した.次に,溶液を80 ℃に維持し,250〜350 rpmの低速撹拌を4時間行い,溶液の完全な蒸発が起こるまで撹拌を続けた.その後,浸漬させた混合物を110 ℃で一晩乾燥させた.得られた触媒は,静止空気炉内で500 ℃,(昇温速度1℃/min),4時間焼成した.NiおよびRuの担持量は2 wt.%とした.またCoとMnの担持量も2 wt.%とした.作製した触媒をそれぞれxNi/support (Support = CeO2, SiC) ,xRu/support,xNi-yM/support,xRu-yM/supportと名付けた.ここで,xとyはバイメタル触媒のNi,Ru,(M = Co,Mn)のwt.%を表している.H2-TPR, XRD,BET, CO2のメタン化反応実験を行なった。

結果と考察 / Results and Discussion

湿式共含浸法により調製した,CeO2およびSiCに担持され,CoおよびMnで修飾したNiおよびRuベースの単金属およびバイメタル触媒を使用して,大気圧下の固定床反応器におけるCO2メタン化反応の触媒活性を検討した.2Ni-および2Ru-触媒に担持されたCoおよびMnの影響を調査するため,BETとH2-TPR特性を測定した.結果として,二元系触媒は単一系触媒よりも活性が高いことが確認された.これは,金属-金属間,および金属-担体間の相互作用が表面金属を豊富にし,吸着したCO2の活性化を促進したためと考えられる.NiとRuをベースにした触媒にCoとMnを組み込むことが,NiとRuが大きな粒子への凝集を防ぐために重要であった.これは,2Ni-2Co/CeO2,2Ni-2Mn/CeO2,2Ru-2Mn/CeO2,および2Ni-2Co/SiCなどのバイメタル触媒の高い活性で確認された.Ni-Co/CeO2およびNi-Co/SiCは,CH4に対する高い触媒活性と優れた選択性を示した.500 ℃においても高い活性(CO2変換率:~76%および77%)とCH4の選択性(~83%および88%)を示した.一方,Mnを含むバイメタル触媒の2Ni-2Mn/CeO2および2Ru-2Mn/CeO2は,500 ℃でのCO2変換率(〜71%および73%)およびCH4の選択性(〜79%および82%)を示し,2Ni-2Co/CeO2および2Ni-2Co/SiC触媒のCO2変換率とCH4選択率とほぼ同様の結果を得た.CeO2およびSiCに担持したバイメタル触媒は,NiおよびRuの高い活性とCoおよびMnの炭素析出に対する高い耐性を併せ持ち,CO2メタン化反応における高活性,選択性,熱安定性を持つ触媒と結論付けられた。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

謝辞Chopendra G. Wasnik (D2001369)は、JICA(国際協力機構)のIITH-JICA FRIENDSHIP奨学金による研究期間中の財政的支援に感謝の意を表したい。参考文献1)     Le, T. A., Kang, J. K., & Park, E. D.,  Topics in Catalysis61, 1537-1544, 2018他


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
  1. Chopendra G. Wasnik, CO2 methanation over low-loaded Ni-M, Ru-M (M = Co, Mn) catalysts supported on CeO2 and SiC, Carbon Resources Conversion, , 100241(2024).
    DOI: https://doi.org/10.1016/j.crcon.2024.100241
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 中村 真季,WASNIK, Chopendra Ganeshpa,島田 大輝,則永 行庸,"バイメタル触媒(Ni-M, Ru-M)によるCO2メタネーション反応", 第132回 触媒討論会(北海道), 令和5年9月
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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