【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.06.22】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23NU0048
利用課題名 / Title
ナノスケール隙間内のDNA分子の挙動解析
利用した実施機関 / Support Institute
名古屋大学 / Nagoya Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)次世代バイオマテリアル/Next-generation biomaterials(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
DNA, nano gap, nanofluidics ,電子顕微鏡/ Electronic microscope,バイオセンサ/ Biosensor,集束イオンビーム/ Focused ion beam
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
福澤 健二
所属名 / Affiliation
名古屋大学大学院工学研究科
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
福澤健二,伊藤伸太郎,東直輝,平岩広羽,Yi Hongdong
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
薬剤耐性菌の出現と蔓延による感染症の拡大が世界的な問題となっている.疫学解析のためには,遺伝子型に基づいて感染経路を特定することが不可欠である.パルスフィールドゲル電気泳動法(PFGE)は,断片化したゲノムDNAのサイズ分布に基づく高精度な遺伝子型判別法として知られている.しかし時間とコストがかかることが問題である.我々はナノスリット流路を用いた緩和時間測定により,DNA1分子のサイズを高分解能かつ高速に同定する新しい解析手法を提案した.図1にその概要を示す.ナノスリット流路内で電気泳動を行うと,DNA分子は伸長する.流路内で電気泳動を停止すると,伸長した分子は緩和してランダムコイルの状態に戻る.伸長状態からランダムコイルに戻る時間を緩和時間として測定する.緩和時間は分子サイズに依存するため,その測定により,DNAのサイズを決定することができる.
実験 / Experimental
ナノスリット流路は,シリコンウェハを基材としてフォトリソグラフィと集束イオンビームトリミング加工により作製した.集束イオンビーム(FIB)加工には, ETHOS NX-5000(NU-105)を利用した.流路の両端にパルス電圧を印加してDNAを電気泳動する.DNA試料にはYOYO-1で蛍光標識されたλDNA(48.5 kbp)とT4 DNA(166 kbp)を使用した.DNAの観察には蛍光顕微鏡を用いた.
結果と考察 / Results and Discussion
ナノスリットの深さが異なると,DNA分子の緩和時間が変化することが想定された(1,2).そこで提案したDNA分析法を用い,ナノスリット流路の深さがサイズ分離の分解能に与える影響を調べた.25 nmと130 nmの異なる深さのナノスリット流路を作製し,λ DNA分子(48kbp)とT4 DNA分子(166kbp)を混合した緩和時間を測定し,そのヒストグラムを得た.代表的な結果を図2に示す.ヒストグラムのピーク距離とピーク偏差に基づいて分解能を比較した結果,深さ130 nmでは1.5,深さ25 nmでは2.2であった.深さが浅いほど分離能が向上することが明らかとなった.
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
Fig.1 Schematic of DNA molecule size determination using relaxation time measurement using nanoslit device.
Fig.2 Histogram of the relaxation time of DNA molecules with two different sizes (48 and 166 kbp) measured in 25 nm deep nanoslit channels.
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件