利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.06.22】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23NU0040

利用課題名 / Title

相溶性高分子ブレンドの相分離ダイナミクスのTEMによる直接観察

利用した実施機関 / Support Institute

名古屋大学 / Nagoya Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マルチマテリアル化技術・次世代高分子マテリアル/Multi-material technologies / Next-generation high-molecular materials(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

電子顕微鏡/ Electronic microscope,高機能ハイドロゲル/ Highly functional hydrogel


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

増渕 雄一

所属名 / Affiliation

名古屋大学大学院工学研究科

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

土肥侑也,鈴木海渡,武藤俊介

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

荒井重勇

利用形態 / Support Type

(主 / Main)共同研究/Joint Research(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

NU-101:反応科学超高圧走査透過電子顕微鏡システム


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

化学的な組成が異なる高分子のブレンドは高分子材料の物性を制御するために工学的に広く用いられる手法である.このとき高分子同士の熱力学的な相容性と動力学的な相容化または相分離挙動が重要であり,多様な実験手法による観察・測定が試みられ,電子顕微鏡による観察も多数報告されている.最近Umemotoら(
Polymer Journal (2023) 55:997–1006,https://doi.org/10.1038/s41428-023-00786-5)により,超高圧STEMを用いて試料に対する染色なしで高分子ブレンドを直接評価できる手法が提案された.本研究ではこの手法による相分離ダイナミクスの観察を目論んだ.

実験 / Experimental

実験には反応科学超高圧電子顕微鏡(JEM-1000K RS : NU-101)を用い、その設定はUmemotoらの先行研究(https://doi.org/10.1038/s41428-023-00786-5)と同様である.試料にはポリイソプレンとポリスチレン誘導体のブレンド物を用いた.このブレンドはポリスチレンの側鎖の微細な化学構造の違いが相容状態の温度依存性を大きく変えることが知られているため,その分子論的な機構を調べることを目的として用いた.

結果と考察 / Results and Discussion

先行研究と同様に染色なしで相分離構造を観察できた.界面における2成分の濃度変化も定量評価できる可能性も示された.また温度を変えて非相容ー相容転移のダイナミクスの観察も試みた.数時間におよぶ観察を実施したところ,微かではあるが相容状態が変化している様子が見られた.ただし変化の速度は試料のバルク粘度を考えると非常に低く,試料ホルダーと試料の間の特異的な相互作用などによる構造の固定化が起きているものと思われた.なお計画では構造の異なる数種類のポリスチレン誘導体を試料として用いる予定ではあったが,相分離ダイナミクスの観察が首尾よくいかずマシンタイムを使い切ったため実施できなかった.

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

名古屋大学超高圧電子顕微鏡施設の利用にあたり,武藤俊介教授,荒井重勇特任准教授に大変お世話になりました.またポリスチレン誘導体試料については名古屋大学工学研究科有機・高分子化学専攻の高野敦志准教授にご提供いただきました.この場をお借りしてお礼申し上げます.


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. K. Suzuki, A. Takano, S. Arai, S. Muto, T. Ishida, Y. Doi, T. Uneyama, and Y. Masubuchi, “TEM-EELS observation of phase separation behavior of miscible Polyisoprene/Poly(alkylstyrene) blends ”, The 17th International Workshop for East Asian Young Rheologist (2024/1/23–26) S29, Busan, Korea(Pukyong National University, Engineering), Short oral & Poster presentation
  2. 鈴木海渡, 石田崇人, 畝山多加志, 増渕雄一,高野敦志,土肥侑也,”ポリ(4-iso-プロピルスチレン)、ポリ(4-iso-ブチルスチレン)、ポリ(4-tert-ブチルスチレン)とポリイソプレンの2元ブレンドの相溶性の温度依存性の比較”,第54回中部化学関係学協会支部連合秋季大会(2023/11/11,12) 2E13, 三重大学工学部(三重), 一般研究発表
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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