【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.06.22】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23NU0012
利用課題名 / Title
ハイエントロピー超伝導体の照射欠陥形成挙動の評価
利用した実施機関 / Support Institute
名古屋大学 / Nagoya Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
超伝導材料、ハイエントロピー合金,エレクトロデバイス/ Electronic device,電子顕微鏡/ Electronic microscope
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
大野 直子
所属名 / Affiliation
横浜国立大学大学院工学研究院
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
大野 直子,山田 裕斗
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
荒井 重勇,依田 香保留,中尾 知代
利用形態 / Support Type
(主 / Main)技術代行/Technology Substitution(副 / Sub),技術補助/Technical Assistance
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
NU-101:反応科学超高圧走査透過電子顕微鏡システム
NU-105:バイオ/無機材料用高速FIB-SEMシステム
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
カーボンフリーの再生可能エネルギーとして、国内外で小型核融合炉の実用化へ向けた動きが加速している。核融合炉の超伝導マグネットはプラズマを閉じ込めるために必要不可欠であるが、小型化にはより高磁場・高温で動作可能な酸化物系超伝導体が求められる。超伝導体の課題の一つとして中性子照射環境での劣化が挙げられる。核融合炉は小型化するほど遮蔽を施すのが難しいため、我々は発想を変えて、REBa2Cu3O7-δ(REBCO)のRE層に照射に強いハイエントロピー合金の概念を導入したハイエントロピー超伝導体を調査している。ハイエントロピー超伝導体の照射に関する研究報告は極めて少ないため、ハイエントロピー超伝導体の照射に関する知見獲得の一環として、本研究では超高圧電子顕微鏡を用いて電子線照射その場観察を行い、照射による格子像の変化を観察し、解析した。
実験 / Experimental
試料の組成はREBCOのREサイトにErのみを用いたErBCO(RE1)、Er, Hoをほぼ当モル比で用いたRE2、Er, Ho, Tm, Dy, Ybの5元素をほぼ当モル比用いたRE5の3種類である。これらの組成をもつ単結晶ウィスカを作製し、ウィスカから集束イオンビーム装置(NX-5000 : NU-105)により小片を切り出して薄膜加工した。薄膜の最終厚さは~100nmである。この薄膜試料を、名古屋大学のJEM1000K RS(NU-101)にて、液体窒素冷却ホルダーを使用して、温度約100Kで1MeVの電子線照射を行い、照射による損傷組織発達をその場観察した。
結果と考察 / Results and Discussion
RE1では照射直後からブラックドット状の欠陥が形成し、格子縞が不明瞭になった後、再び格子縞が出現する過程(回復)を繰り返しながら少しずつアモルファス化していった。RE2はRE1と同様に格子縞が不明瞭になるが、その後回復することなく速やかにアモルファス化していった。RE5は照射前から多量の積層欠陥が生じており、照射によってまず欠陥が解消され、格子縞が不明瞭になるまでの時間が最も長くなった。RE5ではREサイトの多元素置換による歪を緩和するために積層欠陥が初期欠陥として導入されており、これが格子間原子のシンクになることで照射耐性が得られたと考えられる。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件