【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.06.22】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23NU0006
利用課題名 / Title
TEMを用いた半導体デバイスの故障個所の抽出・微細観察・分析手法
利用した実施機関 / Support Institute
名古屋大学 / Nagoya Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
半導体,不良解析,TEM,FIB,ナノプローブ,電子顕微鏡/ Electronic microscope,先端半導体(超高集積回路)/ Advanced Semiconductor (Very Large Scale Integration)
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
沖 朋幸
所属名 / Affiliation
株式会社ソシオネクスト
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
近年半導体デバイスは微細化が進み、デバイス内部の構造も複雑となる中で、故障箇所推定も困難となってきている。ナノプローバーによるEBAC反応調査は、OBIRCHなどの光学系の故障推定装置と違い、SEMでの推定となるため、半導体デバイス内の微細な配線Netやトランジスタ内の微細部分の不良箇所を絞り込む上で、今後期待している手法である。今回、ナノプローブ装置を用いたトランジスタ特性およびEBAC反応から推定したTEM試料を作製し故障個所の抽出・微細観察・分析を行い特定した不良箇所の絞り込み精度の検証及び、不具合となる原因が視覚的に見いだせるか調査した。
実験 / Experimental
28nmテクノロジ半導体の微小リーク不良を用いて実験を行った。まずIR-OBIRCH装置にて半導体デバイス内のOBIRCH反応とIR像を重ね合わせて絞り込んだ不良部位を、各層研磨と表面観察を繰り返し、さらにSEMボルテージコントラスト法(SEM-VC)観察を繰り返す事によりビアのコントラスト差異を確認した。コントラスト異常のビアはゲートに繋がるコンタクトであり、そのゲートがリークしていると推測出来るが、表面上故障原因はわかっていない。特定したゲートサイズは1.3um x 1.0umの大きなトランジスタゲートであり、ナノプローブ装置にてゲートとドレイン間にリークが生じていることを確認し、同じくナノプローブのEBAC機能によりゲート内不良推定により200nm x 200nmの範囲まで絞り込んだ。推定した部位をFIBで幅5um、厚さ500nmの断面TEM試料を作製し、電子顕微鏡による観察結果よりリーク原因の考察を行った。厚さを500nmの試料を作製したのは、絞り込んだ200nm x 200nm範囲及び周囲を、漏れなく観察する為である。
[利用装置]
・高分解能透過型電子顕微鏡システム JEM-2100F/HK
結果と考察 / Results and Discussion
断面TEM/STEM観察において、周囲の同様のトランジタの断面と比較して怪しい影は見えるがTEMとしては厚い500nmの試料厚ということもあり、鮮明には観察出来ていない。その状態でEDSのマッピング分析を行ったところ、ゲートからSi基板にかけてシリサイドのNiが拡散しショートしている様子を捉えることが出来た。観察像とEDSマッピングを比較した所、EDSマッピングの方がTEM/STEM観察より故障原因が分かりやすい結果となった。これはTEM/STEMでは透過した電子を結像/走査電子像の信号を画像化しているのに対し、EDSマッピング分析では電子線が試料に入射した際に発生する特性X線を検出器にて測定しているので、試料が厚い状態でも発生する特性X線の信号量に影響なく、透過する電子線が少ないTEM/STEMより、EDSの方が判別しやすくなったと考えられる。さらに500nm厚のTEM試料を再度FIBにて両側から加工し300nm厚までしたところで再度TEM/STEM観察しより鮮明に観察する事が出来た。これは透過する電子線の量が増えたためである。この際もEDSマッピングでの異常は捉えることが出来ている。今回、不良となったNi拡散は比較的規模が大きく、TEM/STEM及びEDSマッピングにて確認することが出来たが、仮に微細な不良原因であった場合、観察及び分析では検出することが出来ない事も想定できる。ナノプローブでのEBAC反応箇所を逃すことなくTEMにて観察する方法も確立する必要がある。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
本研究(の一部)は、文部科学省マテリアル先端リサーチインフラ事業課題として名古屋大学 次世代バイオマテリアル拠点「計測・分析 」分野の支援を受けて実施されました。
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件