利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.06.22】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23NU0005

利用課題名 / Title

SrTiO3結晶の変形特性評価

利用した実施機関 / Support Institute

名古屋大学 / Nagoya Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

塑性変形,転位,電子顕微鏡/ Electronic microscope,先端半導体(超高集積回路)/ Advanced Semiconductor (Very Large Scale Integration)


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

小椋 優

所属名 / Affiliation

名古屋大学大学院工学研究科物質科学専攻

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

樋口公孝

利用形態 / Support Type

(主 / Main)共同研究/Joint Research(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

NU-101:反応科学超高圧走査透過電子顕微鏡システム


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

 II-VI族化合物半導体結晶において,光照射により変形応力が上昇する光塑性効果[1]が知られている.さらに,II-VI族化合物半導体の一つである硫化亜鉛(ZnS)結晶では,その塑性変形能が光環境に大きく依存し,光照射下では脆性的な挙動を示す一方で,光のない完全な暗闇環境下であれば金属材料のような延性的な性質を呈することがわかっている[2].第一原理に基づく理論解析によると,硫化亜鉛結晶中の転位は光励起されたキャリアをトラップし,その運動性を失いうる[3].その結果として,光照射下において脆性を示すと推察されている. 転位におけるキャリアトラップ効果は,転位コアのもつ母材と異なる原子・電子構造に起因する.そのため,II-VI族化合物半導体以外の材料においても,光環境に依存した結晶塑性の変化がみられる可能性があるが,光環境が及ぼす変形特性への影響についてはこれまであまり注目されてこなかった.そこで本研究では,室温下において塑性変形可能であることが知られている[4]チタン酸ストロンチウム(SrTiO)について,光環境制御下において圧縮変形試験を実施した.変形後の結晶について,電子顕微鏡を用いて内部組織の観察を行った.

実験 / Experimental

 未変形結晶,暗室下にて変形後結晶,および,光環境下にて変形後結晶について,電子顕微鏡用試料を作製した.電子顕微鏡用試料作製にあたり,共通設備(Dimple grinder, PIPSII)を適宜使用している.作製した電子顕微鏡用試料に対し,反応科学超高圧走査透過電子顕微鏡(JEM-1000K RS)を用いて内部組織の観察を行った.

結果と考察 / Results and Discussion

変形後の結晶内部には,光環境によらずすべり転位の形成がみとめられた.また,変形量の増加に伴う転位密度の増加がみられた.したがって,転位の運動と増殖によって塑性変形が進行していると考えられる.一方で,暗室下で変形させた場合と光照射下にて変形させた場合を比較して転位組織に顕著な差はみられなかった.さらに,圧縮変形試験においても,チタン酸ストロンチウムでは,II-VI族化合物半導体結晶で報告されているような光照射による顕著な変形応力の増加はみられなかった.したがって,チタン酸ストロンチウムにおいては,光環境や,光励起によるキャリア発生が変形特性や転位運動に大きな影響を及ぼさないと考えられる.

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

・参考文献:[1] Y. A. Osip’yan, et al., Adv. Phys. 35 (1986) 115-188. [2] Y. Oshima, et al., Science 360 (2018) 772-774. [3] K. Matsunaga, et al., Acta Mater. 195 (2020) 645-653. [4] Atsutomo Nakamura, et al., Crystals 7, 351 (2017).
・本課題は,樋口公孝 技術職員との共同研究として推進した.


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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