利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.06.29】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23UT0351

利用課題名 / Title

MOFを鋳型とした機能性ナノ材料の創製

利用した実施機関 / Support Institute

東京大学 / Tokyo Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

ナノカーボン/ Nano carbon


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

北尾 岳史

所属名 / Affiliation

東京大学 大学院工学系研究科

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

UT-302:電子スピン共鳴装置


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

グラフェンをテープ状に切り出した構造を持つグラフェンナノリボン(GNR)は、高いキャリア移動度、バンドギャップ、特異な磁気特性から、次世代デバイスへの応用が期待されている。GNRはエッジ構造とリボン幅によって、物性が大きく変化するため、GNRの特性を最大限引き出すためには、原子レベルの構造精密性が求められる。GNRの作製手法はトップダウン法とボトムアップ法に大別されるが、近年、基板上で分子を連結させる表面合成技術の発展によってGNRの精密合成が達成されつつある。しかし、合成されたGNRは金属基板と電子的に強くカップリングするため、GNR本来の電子構造や物性を調べることは困難であった。さらに、反応が表面に限定されることから、得られる量が非常に少ないため、バルクGNRの凝集構造や物性は全く未知の領域であった。最近我々は、多孔性金属錯体(Metal–Organic Framework: MOF)を用いたGNRの合成技術を開発した。MOFは金属イオンと有機配位子を適切に選択することで、細孔構造の自在設計が可能である。MOFの内部空間を合成場として用いることで、原子レベルで精密に構造が制御されたGNRが合成できる。GNRは、MOFの細孔内で単層状態で拘束されている一方、骨格の選択除去によって、バルク状態のGNRが得られる 。本研究では、MOF鋳型法によって作製した単層・多層アームチェア型GNR(AGNR)の物理化学的性質を調べ、ナノリボンの凝集がその磁性にどのような影響を与えるかをESR測定によって調査した。

実験 / Experimental

ホスト錯体として、一次元細孔を有する[ZrO(4,4'-biphenyldicarboxylate)]n (1; pore size = 6.9 × 6.9 Å2)を合成した。モノマーであるジブロモペリレンを昇華によって1の細孔内に導入し、325˚C、24時間加熱することで重合反応を進行させた(1⸧AGNR)。複合体のXRD、窒素吸着、SEM測定から、AGNRはMOFの細孔内に拘束されていることが確認された。次に、NaOH水溶液を用いてMOFを除去することで、AGNRを単離した。13C NMR、MALDI-TOF MS、ラマン分光測定から、AGNRはエッジと幅が原子レベルで精密に制御されていることが分かった。単離したAGNRの磁性を調べるために温度可変ESR測定をJEOL社製ESR装置(JES-FA300)を用いて行った。

結果と考察 / Results and Discussion

各温度で測定したESRシグナルの二重積分と温度の積 (IT) を温度に対してプロットした。AGNRはエッジ部分にラジカルがのった共鳴構造を書くことができ、ビラジカルとしての性質を示す。得られたプロットはCurie-Weiss則に従う常磁性成分と、Bleaney-Bowers式に従うビラジカル成分の足し合わせと考えることができ、二つの式によってフィッティングすることが出来る。フィッティングの結果、Bleaney-Bowers式から、一重項と三重項のエネルギーギャップはΔES-T = -0.545 kcal mol-1 と求まった。共役長が伸びるにつれてΔES-Tは小さくなるが、過去に報告されたペリレン誘導体の六量体よりもΔES-Tの絶対値が小さいことから、さらに長いAGNRが生成していることが示唆された。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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