【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.06.29】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23UT0302
利用課題名 / Title
熱電変換素子の開発(部材劣化評価)
利用した実施機関 / Support Institute
東京大学 / Tokyo Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
熱電材料・素子,熱電材料/ Thermoelectric material,X線回折/ X-ray diffraction,電子分光/ Electron spectroscopy
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
岡田 誠司
所属名 / Affiliation
株式会社GCEインスティチュート
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
沖津 康平,府川 和弘,飯盛 桂子
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
UT-308:多機能走査型X線光電子分光分析装置(XPS)with AES
UT-204:粉末X線回折装置
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
我々はゼーベック素子とは異なる原理に基づいた“温度差不要”の新規な熱電変換素子の開発を行っている。同素子は、特定の材料からなる中間層を仕事関数の異なる2枚の金属電極で挟んだシンプルな構成であり、中間層ならびに電極の組み合わせによって素子の出力が変化する。本課題では、素子の長期安定駆動評価の一環で、中間層の成分が電極に及ぼす影響を評価した。
実験 / Experimental
中間層に含まれる各成分を電極上に塗布し、オーブン中に80℃で6日間放置した。その後、電極表面を溶媒で洗浄し、電極の仕事関数と深さ方向の組成変化を測定した。尚、仕事関数は走査型ケルビンプローブシステムを、深さ方向の組成変化はX線光電子分光装置(XPS PHI 5000)を用いて分析した。
・使用した材料
電極:X(仕事関数:浅), Y(仕事関数:深)
中間層に含まれる成分:成分A(高分子化合物), 成分B(低分子化合物), 成分C(無機成分)
結果と考察 / Results and Discussion
電極Xはどの中間層成分に対しても安定であり、仕事関数も組成変化も観測されなかった。一方、電極Yは、成分Aならびに成分Cに対しては安定だったが、成分Bに対しては、塗布部分が変色するほどの大きな変化が観測された。実際、成分Bを塗布した電極Yの仕事関数は、リファレンスと比較して約1/2程度小さく(浅く)なっていた。成分Bを塗布した電極YのXPSによる組成分析からも、観測した範囲の深さ方向の金属成分はすべて酸化物に変化していることが観測され、この組成変化が仕事関数の変化の起因となっていることが明らかとなった。2枚の対向電極X,Yの仕事関数差(ΔWF)は、本熱電変換素子の出力の大小を決める1つ因子であるが、観測された電極Yの仕事関数の浅化は、ΔWFが小さくなる、即ち、本素子の出力を低下させる方向に働くことから、電極Yあるいは成分Bを別材料へ変更する必要性のあることが、今回の分析から明らかとなった。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
XPS測定においては、東京大学工学系研究科ナノ工学研究センターの沖津康平氏のご支援を頂きました。
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件