【公開日:2023.07.31】【最終更新日:2023.05.16】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
22MS1037
利用課題名 / Title
金属錯体の時間分解ESRによる光励起構造の解明
利用した実施機関 / Support Institute
自然科学研究機構 分子科学研究所 / IMS
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)計測・分析/Advanced Characterization
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マテリアルの高度循環のための技術/Advanced materials recycling technologies(副 / Sub)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion
キーワード / Keywords
時間分解ESR、光励起状態、スピン軌道相互作用、金属錯体、励起三重項
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
浅野 素子
所属名 / Affiliation
群馬大学大学院理工学府分子科学部門
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
下 真,安原 凱,咲間 隆也,浅井 聡明,鈴木 智大
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
発光性金属錯体は近年、発光素子、アップコンバージョンの素子、さらには人工光合成の光増感剤や光触媒として、大変注目を集めている。これらの光機能性金属錯体の光機能の多くは励起三重項からのイベントに始まる。よってその励起三重項の構造を明らかにすることは大変重要である。しかし、一般に金属錯体の発光や電子吸収スペクトルはブロードであり、また、有機化合物と異なり金属原子のスピン軌道相互作用が大きく働く。本研究では工光合成の光増感剤―光還元触媒能をもちあわせた複合錯体であるZnポルフィリンーRe錯体二元系の励起三重項の励起構造解明を時間分解ESR法によって行った。
実験 / Experimental
ZnポルフィリンーRe錯体二元系はトルエン、またはトルエンー2MTHF混合溶媒に溶解し、15K, 560 nmの励起光(5ns)を用いて分子研E680にて時間分解ESR測定を行った。連結部のジイミン配位子の連結位置依存性に着目した。
結果と考察 / Results and Discussion
4つのZnポルフィリンーRe錯体二元系錯体のXバンド時間分解ESRスペクトルを測定することができた。Re錯体部の大きな影響はあるものの、測定されたスペクトルから最低励起状態はZnポルフィリン励起三重項状態であると帰属された。すなわち、ゼロ磁場分裂も単量体Znポルフィリンとは若干異なるものの、十分近い値を示していた。しかし、そのスピン分極パターンは、ジイミン配位子によって大きく異なっていた。このことは、励起一重項から励起三重項への系間交差過程がRe錯体によって大きく影響を受けていることを示している。Znポルフィリン部の蛍光寿命との相関からもこのことが支持された。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
受賞等 令和4年度 電子スピンサイエンス学会 学会賞 浅野素子 群馬大学 2022年12月
受賞タイトル:「常磁性金属錯体とその複合系における光励起状態の電子緩和とスピン間相互作用」
備考:上記受賞内容に時間分解ESR測定の結果が一部含まれる。
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- 1.下真,安原凱,藤田峻介,竹田浩之,浅野素子,“ヘテロ芳香環置換Cu(I)ヘテロレプティック錯体の最低励起三重項状態― 時間分解ESRによるMLCT性と(,*)性 ―”,第61回電子スピンサイエンス学会年会,令和4年12月2日-4日(発表日2日)
- 2.浅野素子,藤田峻介,鈴木智大,浅井聡明,竹田浩之,鈴木勇斗,倉持悠輔,佐竹彰治,“亜鉛(II)ポルフィリン−レニウム(I)カルボニル錯体二元系の項間交差増強と近赤外発光”,2022年光化学討論会,令和4年9月13日-15日(発表日14日)
- 3.Motoko S. Asano, Gai Yasuhara, Ken Kobori, Yuqi Hou, Jianzhang Zhao, “Switching of the Emitting States of Pt(II) Complexes by Time-resolved EPR and Optical Spectroscopy”,8th Asian Conference on Coordination Chemistry (ACCC8), 令和4年8月7日-11日(発表日9日)
- 4. 咲間隆也,下真,竹田浩之,浅野 素子,“n-Bu基をもつフェナントロリンCu(I)ヘテロレプッティック錯体における発光温度変化のジホスフィン配位子依存性” ,日本化学会第103回春季年会,令和5年3月22日-25日(発表日3月22日)
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件