【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.06.29】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23UT0242
利用課題名 / Title
超臨界流体を用いたコーティング微粒子の創製
利用した実施機関 / Support Institute
東京大学 / Tokyo Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials(副 / Sub)マルチマテリアル化技術・次世代高分子マテリアル/Multi-material technologies / Next-generation high-molecular materials
キーワード / Keywords
微粒子創製,コーティング,電子顕微鏡/ Electronic microscope,ナノ粒子/ Nanoparticles
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
池田 雅弘
所属名 / Affiliation
広島工業大学 工学部 機械システム工学科
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
福川 昌宏,近藤 尭之
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
UT-101:低損傷走査型分析電子顕微鏡
UT-102:高分解能走査型分析電子顕微鏡
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
核となる微粒子の表面にコーティングすることは,例えば医薬品分野では,薬剤の品質劣化を防ぐ安定化や,苦み,臭いなどをマスキングするほか,コーティング物質の選択やコーティング層の厚みの制御などにより,有効成分の体内での放出をコントロールして,必要な部位への投与をするドラッグデリバリーシステムの中心技術として研究・開発が進められている。
本研究は,前年度までに引き続き,ポリマーを溶解した有機溶媒を超臨界流体中に噴霧し,超臨界貧溶媒法 (SAS法) によりポリマー微粒子を生成した。ポリマーの貧溶媒として用いた超臨界流体には,あらかじめコーティング物質を溶解した。そして,生成したポリマー微粒子を核粒子とし,超臨界サスペンション噴出法 (RESSus法) を組み合わせ,微粒子生成とコーティングを連続で行い,生成粒子の形状や粒子径について検討した。
実験 / Experimental
二酸化炭素をボンベから供給し,高圧ポンプで抽出槽(内容積1.5×10-3 m3)に送液した。抽出槽は,周囲に設置したカートリッジヒーターにより温度コントロールした。RESSus法による粒子生成の際には,抽出槽内にあらかじめコーティング物質のパラフィンを充填し,SAS法と同様にp=8,10,12,14,16,18 MPa,温度T =333
Kの条件で,攪拌機を用いて300 rpmで1時間以上攪拌した。抽出槽に接続したRESSus法用のノズルには,ノズル側面の対向した2箇所にSAS法による微粒子生成用のノズル (出口径DS=0.2 mm,出口長さ1.5 mm) を設置し,高圧ポンプを用い,核粒子となるポリマー (PLGA)
を溶解したアセトンを20 ml/minの一定流量でノズル内に噴霧した。なお,今年度のアセトン-PLGA溶液の濃度は,前年度までと同様に1.0,2.0,3.0 wt%で行った。ノズル内でSAS法により生成したPLGA微粒子は,パラフィンを溶解した超臨界二酸化炭素中に懸濁し,RESSus法によるノズル (出口径DR=0.2 mm,出口長さ1 mm) より常温・大気圧下に噴出した。ノズルは,断熱膨張時の温度低下によるノズル出口の閉塞を防ぐため,カートリッジヒーターを用いてTn=423 Kの一定温度となるよう温度コントロールした。生成した微粒子の採取は,ノズルから200 mm離れた位置で,ノズル軸の垂直面に設置した採取板に噴き付けて行った。
そして,生成した微粒子は JEOL JSM-7500FAとJEOL JSM-7800F Primeを用いて観察と元素分析を行った。
結果と考察 / Results and Discussion
本研究において,前年度までの結果と同様に,SAS法で生成した約1 μmの球状の微粒子にRESSus法によりコーティングした微粒子が得られた。本研究での結果の一例として,RESSus法を用いて,p =16 MPa, T =333 K,アセトン-PLGA溶液の濃度が3.0 wt%の条件で生成した微粒子のSEM写真を図1 に示す。SEM観察の際に,SEMの加速電圧が0.5,1.0 kVの条件の場合には,生成した微粒子の粒子径,形状や表面状態等を鮮明に観察することができた。しかし,元素分析を行うためにSEMの加速電圧を3.0,5.0 kVの条件にした場合には,図1に示されるように球状の生成物からの変形が見られた。これは,核粒子のPLGAやコーティング物質のパラフィンがSEMの電子線により多くのダメージを受けたためと考えられる。
今後は,引き続き球状の微粒子や繊維状の生成物の生成機構を検討すると共に,SEM-EDSでの条件も再検討した元素分析を行い,コーティング膜についての詳細な検討についても続ける予定である。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
図1 生成微粒子のSEM写真(RESSus法:p =16 MPa, T =333 K,3.0 wt%)
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- 尾藤 祐一,中川 尚哉,池田 雅弘,“超臨界二酸化炭素を用いたPLGA微粒子の生成およびコーティング”,第26回化学工学会学生発表会,(2024),C05.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件