【公開日:2023.07.31】【最終更新日:2024.06.11】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
22MS1033
利用課題名 / Title
金属酵素モデル錯体の電子構造の研究
利用した実施機関 / Support Institute
自然科学研究機構 分子科学研究所 / IMS
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マテリアルの高度循環のための技術/Advanced materials recycling technologies(副 / Sub)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions
キーワード / Keywords
鉄ポルフィリン, 高酸化状態, 反応性,核磁気共鳴/Nuclear magnetic resonance,スピン制御
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
藤井 浩
所属名 / Affiliation
奈良女子大学研究院自然科学系化学領域
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
MS-205:単結晶X線回折(CCD-1)
MS-206:単結晶X線回折(CCD-2)
MS-207:単結晶X線回折(微小結晶用)
MS-215:電子スピン共鳴(EMX)
MS-216:電子スピン共鳴(E500)
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
生体内の金属酵素は、活性部位の金属イオンを利用して優れた反応を可能にしている。これは、これら酵素がそれぞれの機能に応じてさまざまな反応中間体をとるためと考えられている。これらの電子構造や磁性を分子レベルで解明すること、またそれらをどのように制御しているのかを解明することは、自然の仕組みを解明するだけでなく、新しい機能を持ったマテリアルの開発に欠かすことができない知見を与える。本課題では、分子科学研究所のESR装置を用いて、酵素反応中間体モデル錯体の電子構造を精密に解明することを行った。
実験 / Experimental
分子科学研究所機器センターにおいて金属酵素モデル錯体のEPR測定、NMR測定、X線構造解析を行った。ESRは、主にBruker EMX Plusを用いて測定した。ESRサンプルは、測定直前に分子科学研究所において調製した。液体ヘリウムを用いて、4KにおけるESRスペクトルを測定した。NMRは、JEOL-ECA-600を用いて測定を行った。X線構造解析は、-120度で測定を行った。
結果と考察 / Results and Discussion
シトクロムP450も活性部モデル錯体を合成した。EPR測定を行った結果、鉄3価高スピン状態と低スピン状態のシグナルが観測された。それらの割合が、溶媒条件によって大きく変化することを見いだした。この現象を1H NMRで解析しようと考えたが、装置が故障していて実施できなかった。合成したモデル錯体の単結晶を作成することに成功したので、構造解析を行った。その結果、今回合成したモデル錯体の疎水性反応場が有機基質を補足する能力があることを発見した。 これ以外にも、次亜塩素酸イオンを合成する白血球内の酵素の反応中間体の実験も行った。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
白血球内の酵素の反応中間体の研究成果は、分子科学研究所が発行する分子研レターズ内の「共同利用研究ハイライト」で報告した。 これらの研究は、分子科学研究所機器センターの方々の補助を受けて行った。感謝いたします。
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
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Sawako Yokota, How Do the Axial and Equatorial Ligands Modulate the Reactivity of a Metal-Bound Terminal Oxidant? An Answer from the Hypochlorite Adduct of Iron(III) Porphyrin, ACS Catalysis, 12, 10857-10871(2022).
DOI: 10.1021/acscatal.2c01840
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Yuri Katogi, Characterization and Reactivity of an Incredibly Reactive Intermediate in the Protonation Reaction of Dioxo-Manganese(V) Porphyrin with Acid, ACS Catalysis, 13, 4842-4852(2023).
DOI: 10.1021/acscatal.2c06122
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- Hiroshi Fujii,”How do the porphyrin and axial ligands regulate the formation and reactivity of Compound I? ”10th Asian Biological Inorganic Chemistry Conference (AsBIC10), Kobe, Japan,December 2, 2022.
- 岩本 星夏、竹田 彩乃、本田 祐樹、柳澤 幸子、小林 康弘、瀬戸 誠、藤井 浩、 「疎水性環境を再現したシトクロムP450活性部位モデル錯体の合成」第31回金属の関与する生体関連反応シンポジウム 同志社大学(京都)、2022年6月18日
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件