利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.05.21】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23UT0205

利用課題名 / Title

第三周期遷移金属を含む有機-無機複合材料の観察

利用した実施機関 / Support Institute

東京大学 / Tokyo Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion(副 / Sub)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed

キーワード / Keywords

複合材料、多孔性材料,電子顕微鏡/ Electronic microscope


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

Hatakeyama Genki

所属名 / Affiliation

東京大学 大学院理学系研究科

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

福川昌宏,近藤尭之

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

UT-102:高分解能走査型分析電子顕微鏡
UT-101:低損傷走査型分析電子顕微鏡


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

金属-有機構造体(Metal-Organic Frameworks, MOFs)は金属イオンと有機リンカーから成る多孔性材料である。MOFsは高い設計性と大きな表面積から注目を集めており、ガス貯蔵・分離、触媒、分子認識などに応用されている。近年、構造中に複数の金属イオンを有する混合金属MOFs(Mixed-Metal MOFs, MM-MOFs)が高い触媒活性やガス分子の吸着能を示すことから盛んに研究されている。しかし、MM-MOFsは異なる金属イオンが無秩序に配列した構造を持つと考えられているためその同定はしばしば困難であり、各金属イオンが担う役割は詳しくわかっていない。そこで当研究室では、周期的に金属イオンを欠落させたMOFを合成し、そこに別の金属イオンを導入することで周期的なMM-MOFsを合成し、単結晶X線構造解析で可視化することを試みた。

実験 / Experimental

水熱合成法を用いて、金属イオンにジルコニウム、有機リンカーにメリット酸を有するMOFを合成した。このMOFは典型的なジルコニウムMOFであるUiO-66と類似の構造を持つことが粉末X線回折測定から分かった。そして、このMOFが周期的な金属イオン欠陥を有していることを単結晶X線構造解析で明らかにした。ハフニウムは、ジルコニウムと同様にUiO-66型のMOFを構築可能な金属イオンの一つである。そこで合成したジルコニウムMOFを塩化ハフニウムを含むDMF溶液中で加熱することによって、ジルコニウム-ハフニウムMOFの合成を試みた。
アルミニウム台にカーボンテープを張り付け、そこへMOFを乗せた。オスミウムを用いて数ナノメートルのコーティングを行った。これをJSM-7500FA、JSM-7800Fを用いてSEM観察およびEDX分析を行った。

結果と考察 / Results and Discussion

SEM観察から5マイクロメートル程度の八面体型の微結晶と数百ナノメートルの微小粉末の存在が確認された。元素マッピングの結果から、微小粉末はハフニウムのみを含むMOFで、八面体型結晶はジルコニウムとハフニウムが一様に分布した混合物であることが分かった。これは、ジルコニウムのMOFに入りきらなかったハフニウムが外へあふれているためであると考えられた。そこで、この結果を踏まえて合成条件を工夫することで、ジルコニウムとハフニウムを含んだ八面体型結晶のみを得ることに成功した。この八面体型結晶のEDXスペクトルを測定し、ジルコニウムとハフニウムの存在比を概算することで、ハフニウムの導入率を計算したところ、70パーセント程度と見積もられた。今後はさらに反応条件のスクリーニングを行うことで導入率を高め、単結晶X線構造解析によって金属イオンの相互作用について詳しく探求していく予定である。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


ジルコニウムとハフニウムを一様に含んだ八面体型微結晶の元素マッピング


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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