利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.05.21】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23UT0154

利用課題名 / Title

窒化アルミニウムにおける欠陥生成メカニズムの解明

利用した実施機関 / Support Institute

東京大学 / Tokyo Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion(副 / Sub)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed

キーワード / Keywords

絶縁放熱基板材料、高体積抵抗率,電子顕微鏡/ Electronic microscope,セラミックスデバイス/ Ceramic device


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

加藤 大貴

所属名 / Affiliation

日本特殊陶業株式会社

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

UT-001:低加速電圧対応原子分解能走査型透過電子顕微鏡
UT-003:超高分解能透過型電子顕微鏡(Cs-HRTEM)
UT-004:環境対応型超高分解能走査透過型電子顕微鏡


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

窒化アルミニウム(AlN)は高い体積抵抗率、高熱伝導率、高強度およびシリコンに近い熱膨張率を持つことに注目され、絶縁放熱基板材料として用いられている。更なる高体積抵抗率を目指して、AlN焼結体に対して添加剤の検討が行われており、中でもMgO添加AlNは無添加AlNと比較して4桁程度高い体積抵抗率を持つことが確認された[1]。その体積抵抗率上昇の要因として、欠陥の発現が示唆されているがその生成原因やメカニズムは分かっていない。そこで、その詳細を明らかにするため、MgO添加AlNについて東京大学の設備である走査型透過電子顕微鏡(STEM)を用いた微細構造解析を行った。

実験 / Experimental

薄膜試料をイオン研磨装置および収束イオンビームで剥片化し、超高分解能透過型電子顕微鏡(JEM-ARM200F ColdFE)を用いて、暗視野(BF)、高分解能(HR) TEM観察を行った。さらに環境対応型超高分解能走査透過型電子顕微鏡(JEM-ARM200F Cold FE, 200kV)を用いて、高角度環状暗視野(HAADF)、低角度環状暗視野(LAADF)、環状明視野(ABF)STEM観察を行い、AlN焼結体の微細構造を研究した。シリコンドリフト検出器(SDD)を2台搭載したSTEM-EDSによって組成分析を行った。

結果と考察 / Results and Discussion

1900 ℃-2時間焼結したMgO添加AlNにはInvesion Domain Boundary(IDB)が出現していることが示唆されていたが、低温で短時間の焼結条件である1700 ℃-1時間で焼結したMgO添加AlNにもIDBが出現していることがBF TEM観察によって確認された(図1: 赤矢印部)。この欠陥は粒界から出現しており、STEM-EDSによる元素分析からMgおよびOが偏析していることが明らかになった。1700 ℃-1時間で焼結した試料の結晶粒は原料粉末の一次粒子と同様のサイズであったことから、この欠陥は粒成長初期に粒界から添加したMgOを取り込みながら生成されることが示唆された。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


図1. AlNにおけるIDBのBF STEM像


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

・参考文献 [1]D. Kato et al., Appl. Phys. Express. 15, (2022) 09550.


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. Daiki Kato, Feng Bin, Nishi Tomohiro, Yasunobu Noritake, Tomoko Hishida, Naoya Shibata, Katsuyuki Matsunaga, Yuichi Ikuhara “The role of inversion domain boundary on volume resistivity in MgO-doped AlN”, 日本セラミックス協会 Sintering2023, 2023年8月
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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