【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.05.18】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23UT0077
利用課題名 / Title
セラミックス結晶粒界の原子構造解析
利用した実施機関 / Support Institute
東京大学 / Tokyo Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials(副 / Sub)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions
キーワード / Keywords
電子顕微鏡/ Electronic microscope,表面・界面・粒界制御/ Surface/interface/grain boundary control,原子薄膜/ Atomic thin film,原子層薄膜/ Atomic layer thin film,ナノ粒子/ Nanoparticles
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
斎藤 光浩
所属名 / Affiliation
日本電子株式会社
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
幾原雄一
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
セラミックス焼結体は、電子回路の基板、プラグなど自動車部品、電子材料のコンデンサーやバリスター、碍子など、様々な用途で使用されている多結晶であるが、その電気的特性および機械的強度のばらつきが大きな問題点になっている。そのような諸特性は、2つの結晶が面する粒界における格子整合性と密接に関係すると考えられているが、その詳細は不明である。粒界諸特性の発現挙動が大きく遷移する対応方位関係のCSL(Coincidence Site Lattice)粒界だけでなく、非CSL粒界の粒界局所構造についても解析が進められている[1]。本研究では、多結晶体で支配的な粒界の原子構造を明らかにすることを目的とした。
実験 / Experimental
モデル系とした酸化マグネシウム(MgO)多結晶体を作製する目的で、FeCoの結晶基板の上にMgOをスパッタリングすることで、MgO薄膜の作製を試みた。さらにMgO薄膜のみが得られるようバックシニング法でFoCo基板側から機械研磨、ディンプリングすることで薄片化を行った。MgO膜の結晶性や粒界構造について、球面収差補正走査透過型電子顕微鏡(Cs-STEM JEOL JEM-ARM200F)を用いて、観察を行った。
結果と考察 / Results and Discussion
汎用TEMによる予備観察では、5~10nm程度の大きさの粒径の多結晶体が形成されており、膜面法線がMgOの[001]軸に平行になるよう配向していることが明らかになった(Fig.1(a))。これは、FeCo基板結晶とミスマッチを最小化するようにMgO粒が基板の結晶方位に対して配向して微粒子化したものと思われる。Cs-STEMによる高分解能像観察では、Fig.1(b)のように、特定の種類の粒界が高い出現頻度で観察された。特に、Σ5(210)[001]粒界が直線的に存在し、バルクでは見られない特徴的な構造ユニットを形成し、周期配列していた。詳細な解析によると、この構造ユニットが存在することで、二つの結晶粒の格子接合性を粒界で高めることが出来ると分かった。MgO多結晶体では、ランダム粒界でなく、このようないわゆる対応粒界が支配的であることが明らかになった。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
Fig. 1(a) Plan-view TEM Image of MgO Thin Film along [001] Axis. (b) ABF-STEM Image of MgO Σ5(210) Grain Boundary.
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
[1] K.Inoue, M.Saito, Z.Wang, M.Kotani, Y. Ikuhara, “The Decomposition Formula of <001> Symmetrical Tilt Grain Boundaries”, Mater. Trans., 56, 1945-1952 (2015).
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件