利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.05.18】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23UT0064

利用課題名 / Title

機能性膜および活性炭の表面解析

利用した実施機関 / Support Institute

東京大学 / Tokyo Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マテリアルの高度循環のための技術/Advanced materials recycling technologies(副 / Sub)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials

キーワード / Keywords

電子顕微鏡/ Electronic microscope,易循環型材料設計技術/ Recycling-friendly material design technology,分離・精製技術/ Separation/purification technology,資源循環技術/ Resource circulation technology,ナノ多孔体/ Nanoporuous material


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

角田 貴之

所属名 / Affiliation

中央大学 理工学部 人間総合理工学科

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

加藤 ななみ,丁 青,小泉 文佳,河崎 颯斗,小松 奈津美,勝屋 涼介,辰己 美紀,大石 ももか,前田 寛明,奥田 啓司,Kim Hye rin

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

福川 昌宏,近藤 尭之,森山 和彦

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

UT-101:低損傷走査型分析電子顕微鏡
UT-102:高分解能走査型分析電子顕微鏡


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

 水処理に用いる多孔質膜には除去性能に加えて高い透水性、物理的・化学的強度が要求される。これらを実現するために、構造の複層化や支持体への分離塗布など様々な工夫が重ねられてきた。一方で、製造工程の複雑化によるコスト上昇や製膜条件の限定などが、より優れた性能を有する次世代膜の開発における課題となっている。DLP(digital light processing)方式の3Dプリンターは、紫外線を照射して硬化させた樹脂を積層により、3次元構造を造形する。オーダーメイドで複雑かつ緻密な構造を作製できるため、従来の製膜方法(NIPSやTIPS)では実現できなかった物性や機能性の付与が期待できる。し かし、DLPの解像度は15 μm以上であり、多孔質膜を直接印刷することができない。そこで、光反応によって励起される光反応誘起相分離(PIPS)に着目した。PIPSでは、光重合 によるエネルギー変化で相分離が起こり孔が形成される。また、重合速度と相分離速度の両者により膜構造が変化する。本研究では多孔質膜形成に適したPIPS条件を検討することを目的とした。本年度はオリゴマーとモノマーの混合が相分離構造に及ぼす影響を調査した。

実験 / Experimental

 オリゴマーとモノマー(モノマーAおよびモノマーB)を様々な比率で混合させ、混合モノマーとした。ジメチルスルホキシド(DMSO)を溶媒とし、ラジカル重合開始剤に2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-17'-モルホリノブチロフェノンを用いた。溶媒:混合モノマーは0:100-100:0 (w/w)の範囲で変化させた。ラジカル重合開始剤を混合モノマー:重合開始剤=95:5(w/w)で溶解した後、25 ℃で厚さ0.13-0.17 mmのカバーガラスの間に溶液を滴下した。滴下した溶液をスライドガラスで挟み、LEDライト(波長 365 nm、照射エネルギー 880 mJ/cm2)を10 秒間照射した。エタノール洗浄によりDMSOを除去し薄膜を得た。オスミウムコーティング処理後の薄膜表面を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した。

結果と考察 / Results and Discussion

 オリゴマーとモノマーAの混合では、オリゴマーの割合が大きいほど相分離構造が発達し、0.3 μm程度の表面孔径を得た。粘度の変化は孔径に影響を及ぼさなかった。これはオリゴマーとモノマーAの官能基数が等しく、それぞれの重合が等しい確率で起こったためであると考えられる。アクリル基を2つ有するモノマーAとアクリル基を3つ有するモノマーBの混合では、モノマーBの割合の増加に伴い膜表面がビーズ状の構造から網目状の構造へと変化した。重合できうる官能基の数が増えたため、相分離が進んだと考えられる。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

本研究の一部は、公益財団法人 クリタ水・環境科学振興財団 2022年度研究助成ならび公益財団法人 クリタ水・環境科学振興財団 2023年度研究助成により実施した。ここに記して感謝の意を表す。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. Hiroshi Yamamura, Nanami Kato, Takayuki Kakuda, "Photoreaction-induced phase inversion for porous membrane manufacturing by DLP type 3D printer", 13th International Congress on Membranes and Membrane Processes (Chiba), 2023年7月13日.
  2. Nanami Kato, Takayuki Kakuda, Hiroshi Yamamura, "Photoreaction-induced phase inversion for porous membrane manufacturing by DLP type 3D printer", 10th IWA Specialist Conference on Membrane Technology for Water and Wastewater Treatment (St. Louis), 2023年7月24日.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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