利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.07.31】【最終更新日:2023.04.15】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22MS1019

利用課題名 / Title

多周波EPR法による光合成タンパク質の構造及び機能の解析

利用した実施機関 / Support Institute

自然科学研究機構 分子科学研究所 / IMS

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)計測・分析/Advanced Characterization

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マテリアルの高度循環のための技術/Advanced materials recycling technologies(副 / Sub)その他/Others

キーワード / Keywords

光化学系Ⅱ, 光合成, マンガンクラスター, EPR, ESEEM


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

三野 広幸

所属名 / Affiliation

名古屋大学大学院理学研究科

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

小崎 慎也

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

藤原 基靖

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

MS-214:電子スピン共鳴(E680)
MS-215:電子スピン共鳴(EMX)
MS-216:電子スピン共鳴(E500)


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

マンガンクラスターで行われる光合成酸素発生は4光子、5つの中間状態(S0 からS4)の絡む反応である。マンガンクラスターには異性体が存在し、S2状態では主に2つの信号g =2 低スピン状態とg =4.1高スピン状態のEPR信号が検出される。g =4.1信号の情報は非常に少ない。これはg = 4.1信号に超微細構造が観測されず、パルス法による測定も難しいことによる。高スピン状態の解釈は酸素発生機構の解釈の重要な鍵である。Q-bandパルスEPR法によりS=5/2高スピン状態の信号(X-bandではg =4.1)を検出した。

実験 / Experimental

光化学系Ⅱタンパク質複合体はホウレンソウより抽出した。測定は分子科学研究所のBrukerE500およびBrukerE680, Bruker EMXを用いて極低温から室温にかけて測定を行った。

結果と考察 / Results and Discussion

パルスQ-bandによりS =5/2高スピン(X-bandではg=4.1)の測定に成功した。X-band測定の場合g =4.1付近にあるバックグランドが障害となるが、Q-band測定では信号のg因子のシフトにより測定が可能なった。X-bandにおいてg =4.1に観測された信号はQ-bandでは主にg =3.10を中心とした信号として観測された。さらに単一の遷移ではなく多くの遷移に分解することができた。並行して行った量子化学計算との比較を行ったところ、S =5/2高スピン状態はclosed cubaneと呼ばれる構造であり、シアノバクテリアのX-線構造解析では見つかっていない構造であることがわかった。この成果は現在欧文詩に投稿中である。パルスEPRによる検出成功により今後の研究の可能性を大きく広げることができた。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

特になし


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
  1. Keisuke Saito, Protonation structure of the closed-cubane conformation of the O2-evolving complex in photosystem II, PNAS Nexus, 1, (2022).
    DOI: 10.1093/pnasnexus/pgac221
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 1.三野広幸, 小崎慎也,中島芳樹,沈建仁, 多周波EPRでとらえた酸素発生系高スピンS2状態の配位環境,第64回日本植物生理学会年会, 東北大学 , 2023年3月15 - 17日
  2. 2.三野広幸, 小崎慎也,沈建仁,”酸素発生系マンガンクラスター g = 5状態の配位子場対称性のゆがみ”,第60回電子スピンサイエンス学会年会, 熊本大学, 2022年12月2 - 4日
  3. 3.三野広幸, 浅田瑞枝,PELDOR法により決定した光化学系Ⅱの2つのMn2+親和サイト, 第60回生物物理学会年会,函館アリーナ, 2022年9月28 - 30日
  4. 4. Hiroyuki Mino Shinya Kosaki,, High Spin Structures of S2 State Manganese Cluster, 18th international congress on photosynthesis research, Brisbane, Australia (online), 31 July - 5 August, 2022
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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