【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.05.16】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23UT0046
利用課題名 / Title
不安定金属錯体の結晶構造解析
利用した実施機関 / Support Institute
東京大学 / Tokyo Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マテリアルの高度循環のための技術/Advanced materials recycling technologies(副 / Sub)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials
キーワード / Keywords
水素化触媒,X線回折/ X-ray diffraction,分離・精製技術/ Separation/purification technology,資源循環技術/ Resource circulation technology
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
岩﨑 孝紀
所属名 / Affiliation
東京大学 大学院工学系研究科
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
萬代遼,Thakun Chen,原正宜
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
ウレタンやウレアは、窒素原子の孤立電子対によるC=O p*軌道の安定化により、求核付加に対する活性は低い。一方、ウレタンやウレアは、CO2固定化反応の生成物や、合成高分子の主鎖骨格に含まれることから、その変換反応の開発が近年注目を集めている。ウレタンやウレアの水素化分解は、PNN三座配位子を有するRu錯体を用いたMilsteinの先駆的な研究以降いくつかの錯体触媒が報告されているが、今なお研究の余地が残されている。
このような背景のもと、我々はアニオン性ピロリド配位座を含むPN二座配位子を有するIr錯体が、ウレアのホルムアミドとアミンへの水素化分解を触媒することを見出し、エステルなどの他のカルボニル化合物共存下、カルボニル化合物の中で最も反応性が低いとされるウレアを化学選択的に水素化できることを報告した。本触媒系は、特殊な試薬を用いることなく、カルボニル化合物の反応性を触媒によって逆転させた興味深い結果である。今回、対応するMn錯体の水素化能について検討した。
実験 / Experimental
PN配位子をNaHで処理し、MnBr(CO)5に作用させることで対応するMn錯体が87%収率で得られた。得られた触媒前駆体の単結晶を無機微小結晶 構造解析装置 (X-ray Single Crystal Diffractometer)(UT-201)を用いて構造解析 を行った(Figure)。
結果と考察 / Results and Discussion
X線結晶構造解析により決定した分子構造からピロリド配位子の弱いσ供与性、π受容性が示唆された。
また、Mn錯体とKOt-Bu添加剤を用いて、ウレタンの水素化を行ったところ、対応するアニリンとアルコールが94%, 54%収率で得られた。これまでに報告されているウレタンの水素化触媒はいずれも三座もしくは四座配位子が用いられており、本系は二座配位子を用いたウレタンの水素化分解の初めての例である。一方、アミドに対しては触媒活性を示さなかった。一般にアミドはウレタンよりも求電子性が高いことから、興味深い化学選択性である。ウレアの水素化ではホルムアニリド、アニリンおよびグアニジンが得られた。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
Figure
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
・ERATO(JST) Grant Number JPMJER2103「野崎樹脂分解触媒プロジェクト」
・学術変革領域研究(A)デジタル有機合成(MEXT) 22H05340「触媒制御によるカル
ボニル基の水素化の化学選択性逆転と反応機構の解明」
・基盤研究(B)23H01955「触媒機能を有するアニオン性分子の創成と静電的相互作用による触媒機能の集積化」
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- T. Iwasaki, “Chemoselectivity Change in Catalytic Hydrogenolysis: Ureas to Formamides and Amines” 7th Gratama Workshop, Nagasaki Brick Hall, Nagasaki, Japan, May 10-12 (2023), 2-IL-4, Invited Lecture
- T. Iwasaki, K. Tsuge, N. Naito, K. Nozaki, “Chemoselectivity Change in Catalytic Hydrogenolysis enabling Urea-reduction to Formamide/Amine over More Reactive Carbonyl Compounds” 2nd International Symposium on Digitalization-driven Transformative Organic Synthesis (ISDigiTOS-2), Awaji, Hyogo, Japan, December 7, 2023, poster P1-03
- T. Iwasaki, K. Tsuge, N. Naito, K. Nozaki, “T. Iwasaki, K. Tsuge, N. Naito, K. Nozaki, “Chemoselectivity Change in Catalytic Hydrogenolysis enabling Urea-reduction to Formamide/Amine over More Reactive Carbonyl Compounds” The 15th International Kyoto Conference on New Aspects of Organic Chemistry (IKCOC-15), Kyoto, Japan, November 20-23, 2023, oral OP-23
- 岩﨑孝紀、柘植一輝、内藤直樹、野崎京子「触媒的水素化反応における化学選択性の逆転-ウレア類のホルムアミドとアミンへの選択的水素化分解」、第49回反応と合成の進歩シンポジウム、2023年11月6-7日、じゅうろくプラザ、口頭発表1O-10
- 岩﨑孝紀、「イリジウム触媒によるウレアの化学選択的水素化分解」、第84回有機合成化学協会関東支部シンポジウム、2023年5月13日、東京農工大学、口頭発表C09
- T. Iwasaki, N. Saito, K. Nozaki, “Hydrogenolysis of Urethanes and Ureas Catalyzed by Manganese Complex Supported by Bidentate PN Ligand"論文投稿中
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件