【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.06.17】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23UT0034
利用課題名 / Title
放射性廃棄物処分のバリア材料特性評価
利用した実施機関 / Support Institute
東京大学 / Tokyo Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マルチマテリアル化技術・次世代高分子マテリアル/Multi-material technologies / Next-generation high-molecular materials(副 / Sub)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials
キーワード / Keywords
放射性廃棄物処分,電子顕微鏡/ Electronic microscope,X線回折/ X-ray diffraction
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
斉藤 拓巳
所属名 / Affiliation
東京大学 工学系研究科原子力国際専攻
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
UT-203:粉末X線回折装置
UT-104:低真空走査型電子顕微鏡
UT-102:高分解能走査型分析電子顕微鏡
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
放射性廃棄物地層処分では,廃棄体自体,あるいは,周囲に敷設する低透水性,核種吸着性の高いバリア材料からなる人工バリアと母岩からなる天然バリアを組み合わせることで,超長期の安全性を担保している.このようなバリア材料の性状は,バリア材料中での核種移行をモデル化し,バリア性能を評価する上で,不可欠な情報となる.本研究では,先進の人工バリア材料であるジオポリマーと日本に広く分布し、深さ1,000m付近のほぼ半分を占めると推定されている先新第三紀堆積岩を対象に,それらの結晶構造,及び,鉱物の分布を,X線回折や走査型電子顕微鏡観察で明らかにすることを目的とする.
実験 / Experimental
ジオポリマー試料として,メタカオリンから,Na:Al:Si比 = 2:1:1で作製したNa型ジオポリマー(以下,NaMKGP)を用いた.また,新第三紀堆積岩のコア試料(φ92mm,長さ25m,2本)は,ジュラ紀・白亜紀付加体の一部である北関東の秩父帯から掘削し,そこから3つの試料を選択した(1-3,1-12,2-3).各試料の一部を粉砕後,XRD測定に,また,薄片化後,SEM-EDXに供した.用いたXRDは粉末X線回折装置SmartLab(3kw)で測定条件としては,測定のスキャン速度は5°/min,ステップサイズは0.01°,測定範囲は5〜65°,入射スリットは1/8°とした.また,内標準物質として,α-Al2O3を添加することで,鉱物層の定量評価を行った.SEM-EDX観察は,試料をOsコーティングした後,加速電圧15 kVで観察,蛍光X線分析を行った.用いたSEM-EDX装置は、JSM-6510,JSM-7800Fで測定の倍率で使い分けを行い、蛍光X線についてはJEM-7800Fを用いた。
結果と考察 / Results and Discussion
先新第三紀堆積岩のXRDプロファイルをFig. 1に,鉱物相の定量分析の結果をTable 1に示す.3つの岩石試料のXRDプロファイルは類似しており,石英の比較的大きなピークに加えて,曹長石や方解石のピークが顕著であった.特に,比較的に均質で,大半が砂岩からなると考えられる試料2-3は,特に,石英や曹長石に富み,一方,ブロックインマトリックス状を示す試料1-3,1-12は,相対的に,方解石やイライトやカオリナイト,白雲母などの粘土鉱物の含有量が多いことが分かった.特に,イライトや白雲母の存在は,放射性核種の吸着や移行挙動に大きな影響を与えるものと考えられる.NaMKGP試料のSEM-EDX観察の結果をFig. 2,3に示す.NaMKGPのマトリクス部はAlO4-SiO4のネットワークからなるゼオライト様の非晶質な構造を示すが,材料内部には,メタカオリンに由来する石英やTiO2が分布していることが見て取れる.模擬海水に浸漬させた試料の観察から,表面に海水由来のMgを含む層が形成していることが見て取れる.層には,OやCl,そして,Siなどが含まれていることから,ブルーサイト(Mg(OH)2),あるいは,マグネシウム-シリカ水和物(MSH)が主成分であると考えられる.このような層の存在は,NaMKGPからの放射性核種の溶出やそれ自体の溶解に影響をあたえるものと結論付けられる.
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
Fig. 1. 先新第三紀堆積岩のXRDプロファイル
Table 1. 先新第三紀堆積岩岩石コア試料の鉱物組成
Fig. 2. イオン交換水に浸漬させたNa-MKGP試料の反射電子像と元素マッピング.
Fig. 3. 模擬海水に浸漬させたNa-MKGP試料の反射電子像と元素マッピング.
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
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Anıl Can Yıldırım, Determination of the sorption mechanisms of sodium-alkalinized metakaolin-based geopolymers, Applied Clay Science, 251, 107303(2024).
DOI: 10.1016/j.clay.2024.107303
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- Yildirim, A. C., Toda, K., Saito, T., “METAL ION DIFFUSION THROUGH METAKAOLIN-BASED GEOPOLYMER”, Migration 2023, Nantes, 2023.9.
- Hou, L., Toda, K., Saito, T., “METAL IONS ADSORPTION AND MODELING ON A PRENEOGENESEDIMENTARY ROCK”, Migration 2023, Nantes, 2023.9.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件