【公開日：2024.07.25】【最終更新日：2024.05.15】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23UT0007

利用課題名 / Title

金属微粒子の構造解析

利用した実施機関 / Support Institute

東京大学 / Tokyo Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】（主 / Main）計測・分析/Advanced Characterization（副 / Sub）-

【重要技術領域 / Important Technology Area】（主 / Main）革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion（副 / Sub）次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials

キーワード / Keywords

触媒材料, ナノ粒子,電子顕微鏡/ Electronic microscope,電子回折/ Electron diffraction,電子分光/ Electron spectroscopy,ナノ粒子/ Nanoparticles

利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名（課題申請者）/ User Name (Project Applicant)

オオノ トモヤ

所属名 / Affiliation

花王株式会社

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

石原　大輔,松尾　翔太

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

寺西　亮佑,木村　鮎美

利用形態 / Support Type

（主 / Main）機器利用/Equipment Utilization（副 / Sub）,技術補助/Technical Assistance

利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

UT-006：ハイスループット電子顕微鏡
UT-004：環境対応型超高分解能走査透過型電子顕微鏡

報告書データ / Report

概要（目的・用途・実施内容）/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

　透過型電子顕微鏡を用いて、コバルト系ナノ粒子触媒の観察を行っている。これまでの検討の結果、粒子表面の構造が重要なことが示唆されているが、コバルトメタルは大気に曝されることによって表面構造が変化するため、詳細な情報を得るためには大気非曝露での観察が望ましい。そこで、東京大学の環境対応型透過電子顕微鏡を用いて大気非曝露TEM観察の技術確立に取り組んだ。今後は本手法を実触媒試料の観察に適応していく。

実験 / Experimental

１、実触媒の観察 エポキシ樹脂に包埋し、ウルトラミロトームによって得た70 nm厚みの超薄切片を観察に供した。TEM観察およびEDX測定は、電界放出型透過電子顕微鏡（JEM2800型, UT-006）を用いて行った。

２，大気非曝露での標準試料の観察 環境対応型高分解能電子顕微鏡（ARM-200F型、UT-004）を用いて実施した。試料には活性炭に硝酸コバルトを含侵したものを、水素還元することで得たコバルトメタルナノ粒子を用いた。試料は窒素パージ環境で作製し、密閉した状態で持参した。東京大学のグローブボックス内で開封、大気非曝露ホルダーを用いて、装置へ導入した。プローブサイズ6C, カメラ長8 cmでHAADF-STEM像およびSTEM-EDX測定を実施した。対照試料として大気曝露（3日間）したものも同様の条件で観察に供した。

結果と考察 / Results and Discussion

１、実触媒試料の観察 　実触媒の表面付近をTEM観察すると被膜様の構造体が確認された。また、元素分析から、この被膜からは酸素や添加元素が僅かに検出された。触媒反応は表面で起こるため、バルクの粒径などではなく、表面の被膜の構造を明らかにすることが重要であると考えた。

2、大気非曝露での標準試料の観察 　大気非曝露および対照実験として意図的に3日間大気に曝したコバルトメタルナノ粒子の、HAADF-STEM像およびSTEM-EDX像を示す。大気曝露の観察においては、粒子表面には酸化被膜（図中矢印部分）が観察され、この部分の元素分析では酸素が多く検出された。試料表面の自然酸化に由来するアーティファクトであると考えられる。一方、大気非曝露で用意した試料ではバックグラウンドとほぼ同程度の酸素しか検出されなかった。このことから、我々の試料の調製および輸送方法で、大気非曝露での触媒表面の観察が可能であることが示された。今後は、この手法を用い、実験結果１（実触媒試料の観察）で示した試料を、大気に曝すことなく観察していくことを予定している。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations

Fig. 1  実触媒試料のTEM画像 

Fig. 2  コバルトメタルナノ粒子の大気非曝露TEM-EDX測定

その他・特記事項（参考文献・謝辞等） / Remarks(References and Acknowledgements)

JEM2800を用いた実験は寺西亮佑氏にご助力いただきました。ARM200Fを用いた大気非曝露観察の実験は木村鮎美氏にご助力いただきました。この場を借りて感謝申し上げます。

成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング（DOIのあるもの） / DOI (Publication and Proceedings)

口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.

特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications：0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents：0件