利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.06.22】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23NU0243

利用課題名 / Title

大気圧プラズマのバイオ応用に関する研究

利用した実施機関 / Support Institute

名古屋大学 / Nagoya Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)次世代バイオマテリアル/Next-generation biomaterials(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

ラジカル分析、ESR、大気圧プラズマ、・OH、プラズマ殺菌


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

伊藤 昌文

所属名 / Affiliation

名城大学理工学部電気電子工学科

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

石川 健治,高田 昇治

利用形態 / Support Type

(主 / Main)共同研究/Joint Research(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

NU-235:超高密度大気圧プラズマ装置
NU-236:In-situ電子スピン共鳴


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

大気圧プラズマのバイオ応用に向けた基礎研究として、プラズマで生成される気相中の酸素原子が液体中の有機分子と反応するかについてESR等を用いて分析した。

実験 / Experimental

超高密度大気圧プラズマ装置(NU-235)などを用いて、超純水にヒドロキシルラジカル(・OH)やハイドロパーオキサイド(・OOH)などを専用のラジカルトラップ剤を添加した溶液に電気的に中性な酸素ラジカルを照射し、ESR(NU-236)を用いて分析した。これらの振る舞いと大腸菌の殺菌率などとの相関を見ることで、これらの酸素ラジカルの殺菌への寄与を検討した。

結果と考察 / Results and Discussion

ラジカルトラップ剤を入れた超純水にプラズマ中の酸素系のラジカルのみを照射して、・OHラジカルや・OOHの生成量の振る舞いをESRで計測した。OHラジカルがトラップされたESR信号の照射時間依存性から照射時間を長くすると・OHのESR信号と思われる強度が高くなっていることが判明した。一方、・OOHはどの照射時間でも信号が観測されず、検出限界濃度以下であることが判明した。さらに、大腸菌の殺菌率の酸素ラジカル照射時間依存性を別途測定した結果、照射時間が長いほど殺菌率は高くなり、・OHラジカルと思われる挙動と同様の振る舞いをすることから、・OHがこの系においては、主要な殺菌因子であると思われた。しかしながら、酸素の同位体を使ったLC-MSの分析結果ら、ESRで検出された・OHラジカルと思われた信号は、プラズマ中の酸素原子が直接有機分子と反応して、その後にプロトンが付加したものであることが判明した。これらの結果から、プラズマ中の酸素系ラジカルによる殺菌の場合、酸素原子が水分子と反応して・OHは生成せず、酸素原子が直接有機分子と反応することから、酸素原子が直接大腸菌と相互作用して殺菌されている可能性が高いことが判明した。今後は、メタボリック解析等を進め、殺菌メカニズムの完全解明をすることが、プラズマによる液中殺菌応用において重要な知見となる。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 山本ヒロミアルウィ, 堀勝, 伊藤昌文, "4. 電気的中性酸素ラジカル照射脱イオン水中の原子状酸素と有機分子との直接反応", The 41-st Symposium on Plasma Processing (SPP-41), 東京工業大学 25p-4, 令和6年1月25日
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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