利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.07.31】【最終更新日:2023.05.31】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22MS1006

利用課題名 / Title

Sn/Ni多層膜の電気伝導特性, Cu-ZnOナノロッドの磁気的性質の解明

利用した実施機関 / Support Institute

自然科学研究機構 分子科学研究所 / IMS

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マテリアルの高度循環のための技術/Advanced materials recycling technologies(副 / Sub)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions

キーワード / Keywords

磁性薄膜, 超伝導


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

嶋 睦宏

所属名 / Affiliation

岐阜大学工学部化学・生命工学科

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

清水 敬弘,熊澤 宏紀

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

横山 利彦

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

MS-219:SQUID(MPMS-XL7)


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

Sn/Ni多層膜におけるSn層の超伝導特性およびNi層の磁気特性の相関を解明する目的で、SQUID-XL7を用いて低温での電気抵抗測定および磁化測定を実施した。

実験 / Experimental

分子科学研究所でSQUID-XL7を用いてSn/Ni多層膜の電気抵抗および磁化を測定した。測定温度は1.8~300 K、印加磁場は0~2 T、抵抗測定時の入力電流は1.4x10-5~5.0 x10-3 Aであった。岐阜大学ではXRDおよびSEMおよびSPMを用いて試料の結晶構造および膜の微細構造を評価した。

結果と考察 / Results and Discussion

結果と考察(Results and Discussion:XRD測定により、Sn/M(M = Ni, Co)多層膜Sn-b/M/Sn-t(dM = 0~13.6 nm, dSn-b = dSn-t = 60 nm)のSn層は正方晶b-Snであり(1 0 0)配向していることを確認した。SPMを用いて膜の平均表面粗さRaを調べた結果、Sn単層膜はRa = 15 nmであるのに対し、積層膜ではRa = 71 nmと増大した。これはSn層の蒸着過程がSKモードであると報告されており[1]、積層により表面粗さが増幅したものと推測される。SQUIDを用いてSn/Ni多層膜の電気抵抗測定を行ったところ、Fig. 1に示すように、臨界温度TcdMの増加にともない3.8 Kから2.6 Kまで低下した。これは強磁性M層のスピン分極が、界面を介し隣接するSn層内において超伝導電流を形成するクーパー対に影響を及ぼす近接効果によるものと推測される。また、層間界面の乱れや成膜過程における原子相互拡散を通じた局所的な合金層の形成も影響したと考えられる。一方、Sn単層膜(dSn = 120 nm)は1.8 Kにおいて第Ⅱ種超伝導体として振る舞い、第Ⅰ種超伝導体として知られるバルクSnとは異なることもわかった。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


Fig. 1 Sn/Co多層膜(dSn = 60 nm)の臨界温度TcのCo膜厚dCo依存性。


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

[1] W. Bang, T. D. Morrison, K. D. D. Rathnayaka, I. F. Lyuksyutov, D. G. Naugle, W. Teizer, Thin Solid Films 676, 138-143(2019).


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 清水敬弘,山田啓介,嶋睦宏, “電子ビーム蒸着法で作製したSn/Co積層膜の磁性と超伝導の相関” 第32回材料フォーラムTOKAI, 令和4年11月7日.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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