【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.03.18】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23BA0049
利用課題名 / Title
XPSを用いた窒化炭素薄膜のUPS/LIPESの測定
利用した実施機関 / Support Institute
筑波大学 / Tsukuba Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
グラファイト
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
羽渕 仁恵
所属名 / Affiliation
岐阜工業高等専門学校
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
岡野 彩子
利用形態 / Support Type
(主 / Main)技術代行/Technology Substitution(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
グラファイト状窒化炭素とも呼ばれる2次元の窒素と炭素による結晶が層状になった層状窒化炭素は光触媒性を持ち、バンドギャップが約2.7 eVの新しい半導体として注目されている。CNはメラミンや尿素などを熱縮合させることで合成できる。この方法で得られる生成物は粉末状であるが、気相成長法を用いることで層の配向性の高い層状窒化炭素薄膜を合成している。この薄膜のエネルギーバンド構造を調べるために光電子収量分光と逆光電子分光法を用いたが、逆光電子分光法でのスペクトル収集が難しかった。そこで低エネルギーの電子照射で測定できる低エネルギー逆光電子分光法で伝導帯の情報を得ることを目的とした。
実験 / Experimental
石英ガラス基板に金をスパッタし、その上に層状窒化炭素薄膜をメラミンを原料にして管状炉で加熱して合成した。価電子帯は紫外光電子分光法(UPS; ultraviolet photoelectron spectroscopy)、伝導帯は低エネルギー逆光電子分光法(LEIPS; low energy inverse photoelectron spectroscopy)にて測定し、バンドギャップを推定した。
結果と考察 / Results and Discussion
層状窒化炭素のバンドギャップは光学約に求められた2.7 eVとされている。これは間接遷移型または非結晶の場合のタウツプロットで求められているが、層状窒化炭素がこの方法に適応できるか検討が必要である。しかし、光吸収スペクトルの立ち上がりはログスケールでみると明確に2.7eVにあり、光吸収のエッジとしては2.7eVとして認識されている。UPSとLEIPSの結果を図1に示す。UPSからHOMOの真空を基準としたエネルギーは、いずれも-6.8 eV、LEIPSからLUMOは-3.6 eVと見積もられ、これらの差よりバンドギャップは3.2 eVとなる。フェルミ準位はLUMOから0.7 eV下がったところにあり、電気伝導の温度依存性から求めた活性化エネルギーと一致することがわかった。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
図1 層状窒化炭素薄膜のUPSとLEIPSのスペクトル
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
本研究の一部は、JSPS科研費JP21K04838および文部科学省「マテリアル先端リサーチインフラ」事業(課題番号 JPMXP1223JI0017, JPMXP1223BA0049)の支援を受けた実施した。本測定に関してご支援頂きました筑波大学の岡野 彩子氏に感謝申し上げます。
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- 羽渕仁恵,廣井智喜,笠島愛莉,ゴーシャンワィ、"層状窒化炭素薄膜のエネルギーバンド構造の考察", 応用物理学会学術講演会(東京)、令和6年3月25日
- 羽渕仁恵、"新しい2次元半導体-層状窒化炭素薄膜-"、第13回高専-TUT太陽電池合同シンポジウム(岐阜)、令和5年12月23日
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件