【公開日:2023.07.31】【最終更新日:2023.05.08】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
22MS0031
利用課題名 / Title
量子化学計算に基づく金属ナノクラスターの構造-物性相間の解明
利用した実施機関 / Support Institute
自然科学研究機構 分子科学研究所 / IMS
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マテリアルの高度循環のための技術/Advanced materials recycling technologies(副 / Sub)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials
キーワード / Keywords
金属ナノクラスター
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
武藤 克也
所属名 / Affiliation
大阪公立大学大学院理学研究科
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
江原 正博
利用形態 / Support Type
(主 / Main)共同研究/Joint Research(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
本研究では、金13や銀29クラスターに代表される金属ナノクラスターの金属や配位子の種類・立体構造に着目することで電子的・光学的性質と構造との相関を量子化学計算により明らかにすることを目的とする。
実験 / Experimental
金13ナノクラスターにキラル配位子および種々のハロゲン元素を導入した場合の電子的・光学的性質と構造との相関を明らかにするため、量子化学計算を行った。構造最適化計算をBEPW91/6-31G*レベルで行い構造の安定性を評価し、時間依存密度汎関数法(TDDFT)により電子吸収スペクトルやCDスペクトルを始めとする光学特性を明らかにした。
結果と考察 / Results and Discussion
既報の[Au13(dppe)5Cl2]のX線構造解析結果を元に初期構造を作成した。Auナノクラスターコアのキラル配置は固定し、そこへR-dppeまたはS-dppeを導入することで、2つのジアステレオマーの初期構造を作成した。構造最適化およびTDDFT計算を行い、最適化構造に対して、Au-Au間距離と、Auが作る2つの五角形の頂点間の二面角を算出し、計算したCDスペクトルとの相関を検討した。さらに、二つのジアステレオマーにおいて、ハロゲンをClからIへと変換した場合の電子的・光学的性質と構造との相関を評価した。S-dppeとR-dppeを導入した場合のジアステレオマーの構造の安定性を評価したところ、S-dppeを導入したほうが約80 kJ/mol安定に存在すること、また、キラル配位子を1つ導入するよりも5つ導入することで圧倒的に安定化することが計算化学的に明らかとなった。また、S-dppeを導入した構造のほうが二面角の36度からのずれが大きく、それに伴いナノクラスターの特徴的な530 nm付近のCDスペクトル強度が大きくなった。このことから、金ナノクラスターコアの2つのAu五角形のずれが、CDスペクトル強度支配する一つの要因であることが分かった。また、ハロゲンをClからIへと変換すると二面角の36度からのずれが大きくなることから、原子半径の大きなハロゲンの導入は、金属ナノクラスターのキラリティを増大させる上で効果的であることが明らかとなった。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
特になし
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件