【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.04.22】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23BA0018
利用課題名 / Title
磁性酸化物材料の成長と価数評価
利用した実施機関 / Support Institute
筑波大学 / Tsukuba Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者)/Internal Use (by ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions
キーワード / Keywords
スピントロニクスデバイス/ Spintronics device,表面・界面・粒界制御/ Surface/interface/grain boundary control,X線回折/ X-ray diffraction,電子分光/ Electron spectroscopy,メスバウアー分光/ Mossbauer spectroscopy,スピントロニクス/ Spintronics
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
柳原 英人
所属名 / Affiliation
筑波大学数理物質系
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
南麟太朗
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
岡野彩子
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub),技術代行/Technology Substitution
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
反応性スパッタリングで酸化物を成膜する際、基板上およびターゲット表面での反応についてその詳細を理解することは容易ではない。その理由の一つとして、反応性ガスの流量によって金属ターゲット表面状態が大きく変化する事が挙げられる。ターゲットモード(金属モード/化合物(酸化物)モード)に依存して成膜速度や生成物の価数が大きく異なることから[1]、反応ガス流量と成膜速度の関係にヒステリシス(履歴)が現れる。したがって,一見同じ成膜条件でも異なる状態の薄膜が生成されることがあり、薄膜成長の再現性を損なう原因にもなっている。そこで我々は、薄膜の成長様式を反映していると期待されるプラズマ発光に着目し、成膜プロセス中に成膜速度や価数を推定する手法について検討を行った。
実験 / Experimental
Feターゲットを用いてMgO(001)基板上に、価数の異なる酸化鉄膜を反応性RFマグネトロンスパッタリング法により作製した。成膜モードの履歴を考慮し、酸素ガスの流量を増加させて目的の流量にする場合と減少させて目的の流量にする場合の2パターンで成膜を行った。得られた試料に対し、X線反射率法(XRR)による膜厚測定、X線回折法(XRD)による結晶構造解析,メスバウアー分光分析およびX線高電子分光(XPS)による価数評価を行った。また、成膜プロセス中に分光器を用いて発光スペクトルをその場観測した。
結果と考察 / Results and Discussion
図1に各成膜パターンの酸素流量と成膜速度の関係を示す。酸素ガスを導入するプロセスの違いにより成膜速度に履歴が現れることを確認した。成長した酸化鉄薄膜の価数評価のためにXPSとメスバウアー分光を行ったところ、XPSの結果は、メスバウアー分光の結果と比べてFeの価数が低く見積もられる傾向であった。XPSが表面敏感であるのに対して、メスバウアー分光の検出深さは膜厚以上であることから、価数評価にはメスバウアー分光が適当であると判断した。スパッタ成膜時の酸素導入量をパラメータとして、合計14枚の酸化鉄薄膜を成膜した。成膜中に得られたプラズマ発光スペクトルの各波長の発光強度を主成分分析を用い次元削減を行なった。第1主成分強度と生成物の価数の間には強い相関が見られたことから、発光スペクトルから生成物の価数が同定可能であることが明らかになった。また。成膜速度についても第2主成分強度まで用いた1次関数でうまく表現できることが確認された。主成分の反応性スパッタリングプロセスにおける物理的な意味について今後検討したい。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
図1 反応性スパッタリング時の成膜速度と酸素導入量
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
[1] H Yanagihara et al.J. Phys. D: Appl. Phys. 46 175004(2013)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:1件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件