利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.04.22】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23BA0003

利用課題名 / Title

3d窒化物磁性薄膜の磁気輸送特性

利用した実施機関 / Support Institute

筑波大学 / Tsukuba Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者)/Internal Use (by ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

スピントロニクス 磁気輸送特性,スピントロニクスデバイス/ Spintronics device,膜加工・エッチング/ Film processing/etching


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

末益 崇

所属名 / Affiliation

筑波大学数理物質系

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

安田 智裕,堀内 拓海,旗手 蒼

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

柏木 隆成

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub),技術補助/Technical Assistance


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

BA-025:終点検出器付き イオンミリング


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

フェリ磁性体Mn4N薄膜は、スピントロニクス材料として注目されている。特に、NiやCoを微量ドーピングして、角運動量を相殺した薄膜で、室温で世界最速の電流駆動磁壁移動を室温でスピン移行トルクにより達成している[1,2]。しかし、不純物の種類と置換サイトにより、磁気特性に与える影響は様々であり、調べる必要がある。これまでの研究で、角運動量補償(または磁化補償)組成の前後で、不純物のドープ量により、磁気輸送特性の符号が変わることが分かっている。本研究では、非磁性元素であるAuを選び、Auを微量ドープしたMn4N膜を作製し、磁気輸送特性を評価し、補償組成の存在可能性を調べた。

実験 / Experimental

分子線エピタキシー法により、厚さ約23 nmのMn4-xAuxN薄膜(x = 0-0.3)を、450 ℃でSrTiO3[STO](001)基板上にエピタキシャル成長し、酸化防止のため、スパッタ法により試料表面を厚さ3 nmのSiO2層で覆った。また、Mn膜とAu膜を別々に蒸着し、X線反射率法により膜厚を測定し、それぞれの堆積レートを算出し、Mn4-xAuxN薄膜中のAu/Mn原子比を計算した。
磁気輸送特性評価のため、試料をホールバー形状に加工し、面直方向に磁場を印加して、室温で磁気輸送特性を評価した。

結果と考察 / Results and Discussion

Mn4-xAuxN薄膜中のAuの組成がx=0, 0.1, 0.2, 0.3の4つの試料について、磁気輸送特性を評価した、その結果を図1に示す。いずれの試料においても角型比が1に近い良好なヒステリシス特性が得られた。Au組成がx=0.1と0.2の間で、輸送特性の符号が反転している。Mn4Nでは、電流を主に担うフェルミ準位近傍の状態密度について、面心サイトのMn原子が支配的であることが第一原理計算から指摘されている。このため、Au組成がx=0.1と0.2の間で、面心サイトのMnの磁気モーメントが反転したと考えられる。
後日、x線磁気円二色性をKEK-PFで調べたところ、確かに、面心サイトのMnの磁気モーメントが反転していることが確認された。同様の結果は、これまでInでも確認されている[3]。今後、他の非磁性元素を含むMn4N膜についても調べる計画である。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


図1 室温で測定したMn4-xAuxN膜の磁気輸送特性



図1 室温で測定したMn4-xAuxN膜の磁気輸送特性


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

[1] T. Gushi et al., Nano Letters 19, 8716 (2019).
[2] S. Ghosh et al., Nano Letters 21, 2580 (2021).
[3] T. Yasuda et al., J. Phys. 55, 115003 (2022).


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
  1. Takumi Horiuchi, Ferrimagnetic-ferromagnetic phase transition in Au-doped Mn4N epitaxial films confirmed by x-ray magnetic circular dichroism, AIP Advances, 13, (2023).
    DOI: 10.1063/9.0000412
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

印刷する
PAGE TOP
スマートフォン用ページで見る