【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.06.26】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23NM0132
利用課題名 / Title
テラヘルツスピントロニック素子の開発
利用した実施機関 / Support Institute
物質・材料研究機構 / NIMS
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
蒸着・成膜/ Vapor deposition/film formation,スピントロニクス/ Spintronics,フォトニクス/ Photonics
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
タニ マサヒコ
所属名 / Affiliation
福井大学 遠赤外領域開発研究センター
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
Dmitry Bulgarevich,渡邊 誠,高市 誠和,Miezel Talara
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
澤部 由美子,大井 暁彦
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
NM-604:マスクレス露光装置 [DL-1000/NC2P]
NM-642:電子銃型蒸着装置 [MB-501010]
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
利用者らは高効率なスピントロニック素子の開発を目的として科研費基盤研究(B) (一般)「スピン流からのテラヘルツ波放射を利用した渦電流探傷法の研究開発」に取り組んんでいる。そのため、NIMSの微細加工 共用設備(マスクレス露光装置、電子銃型蒸着装置)を利用して以下の素子を製作した。(1)MgO基板(0.5mm厚、10mm x 10 mmまたは5mm x 10mm)上にFM層として鉄Fe(2nm)、NM層として白金Pt(3nm)を電子ビーム蒸着により堆積した素子(①薄膜素子)。(2)薄膜素子の上に、矩形のダイポール形状(200μm x 40μm)のアンテナ構造を白金(Pt) および金(Au)で形成し、Ptアンテナ電極の膜厚300nm (②アンテナ素子Pt300nm)およびPtアンテナ電極の膜厚300nmの素子 (③アンテナ素子Au300nm)。さらに(3)アンテナ素子Pt300nmの表面にアルミナ(Al2O3)保護膜コートを施した素子(④アンテナ素子Pt300nm保護コート付き、および⑤アンテナ素子Au300nmも製作した。
実験 / Experimental
試作した(1), (2), (3)のスピントロニック素子は、福井大学・遠赤外領域開発研究センターの谷研究室において、テラヘルツ時間領域分光装置を用いて、テラヘルツ波発生素子としての評価を行った。
結果と考察 / Results and Discussion
アンテナ構造のない①薄膜素子と比較して②アンテナ素子Pt300nmは、テラヘルツ波電界振幅ベースで、約2.2倍のテラヘルツ波放射効率向上が確認された。これはアンテナ構造の導入により、テラヘルツ波の素子から自由空間への放射結合効率が改善されたためと思われる。一方、③アンテナ素子Au300nmおよび⑤アンテナ素子Au300nmからはテラヘルツ波放射が観測されなかった。この素子を金属顕微鏡観察したところ、素子表面が荒れており、Au膜が正常に成膜されていないことが分かった。④アンテナ素子Pt300nm保護コート付き素子からは、①薄膜素子と比較して約1.9倍の放射効率向上が確認された、これは保護膜により放射効率は約16%低下するものの、アルミナ(Al2O3)は保護膜材料として適切であることを示唆している。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- 得られた実験結果および成果は、利用者の高市 誠和(福井大学大学院工学研究科・博士前期課程・知識社会基礎工学専攻・電磁コース)の2023年度修士論文「テラヘルツ波発生のためのスピントロニックアンテナの構造最適化と磁場イメージングのための光学系の検討」に収録された。
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件