利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.05.22】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23NM0121

利用課題名 / Title

難分解性資源材料の構造解析

利用した実施機関 / Support Institute

物質・材料研究機構 / NIMS

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マテリアルの高度循環のための技術/Advanced materials recycling technologies(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

リグニン、糖、森林資源、海洋生物資源,未利用資源の有効利用技術/ Technologies for effective utilization of unused resources,分離・精製技術/ Separation/purification technology,資源循環技術/ Resource circulation technology


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

川﨑 平康

所属名 / Affiliation

高エネルギー加速器研究機構

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

服部晋也

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

NM-018:HPLC(質量分析計付き)


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

木材やカニの甲羅などの難分解性資源から得られる低分子化合物は機能性マテリアルとしての産業価値を有している。申請者は高強度赤外線を用いてこれらの難分解性物質を分解する方法の開発に取り組んだ。赤外線照射後にFT-IR測定を行ったところ木材由来のリグノセルロースの吸収スペクトルに変化が観測されたが、詳細な構造変化は不明である。またキチンのグリコシド結合にも変化が見られたが、結合が切断されているかどうか不明である。そこで質量分析装置を用いてこれらの難分解性材料の分解物の構造を特定することを目的とした。

実験 / Experimental

木粉を水に懸濁した後遠心分離を行い上清を回収した。LC-MS用の試料管に添加してフィルターろ過を行い分析用チャンバーにインジェクションした。ザリガニの殻の粉砕物についても同様に水に懸濁し上清画分をLC-MS分析に付した。液クロは水/アセトニトリル=20/80の溶液系で実施した。

結果と考察 / Results and Discussion

木粉に対して赤外線を照射した後LC-MS分析を行った結果、非照射に比較して複数のピークが分離されることが判明した(図上段)。これにより木粉を構成するポリマーが分解して低分子化したことが示唆される。ザリガニの殻の場合には赤外線照射後に液クロのクロマトグラフ上で非照射に比べてピークが1本増加し、そのピークのマススペクトルを測定するとN-アセチルグルコサミンのナトリウム付加物に相当する質量値が得られた(図下段)。従って赤外線照射によってザリガニの殻の成分であるキチンが分解し、その構成糖のN-アセチルグルコサミンが回収されたことが示唆された。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


図:難分解性生体物質のLC-MS測定結果


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

本研究の一部はヤンマー資源循環支援機構からの助成金により行われました。LC-MS測定を担当して頂いた服部晋也氏に感謝致します。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 川﨑平康, "難分解性バイオポリマーに対する赤外FELの照射効果", 日本大学量子科学研究所電子線利用研究施設ユーザーズミーティング, 2024年2月26日, 日本大学船橋校舎, 口頭発表
  2. 川崎 平康, “赤外波長選択的振動励起による生体関連物質の化学変換”, UVSOR/SPring-8 赤外ビームライン合同ユーザーズミーティング, 2023/9/29 分子研研究棟, 口頭発表
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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