【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.06.10】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23NM0089
利用課題名 / Title
塩濃度勾配法による無機銅塩結晶の育成と結晶構造解析
利用した実施機関 / Support Institute
物質・材料研究機構 / NIMS
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マテリアルの高度循環のための技術/Advanced materials recycling technologies(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
X線回折/ X-ray diffraction
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
村田 秀信
所属名 / Affiliation
大阪公立大学 大学院工学研究科物質化学生命系専攻
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
松下能孝
利用形態 / Support Type
(主 / Main)技術代行/Technology Substitution(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
無機銅塩結晶は世界中で古くから顔料として使用されている。本邦においても塩基性炭酸銅が日本画用顔料の松葉緑青や群青として利用されている。日本画においては、粒度の違いを利用して、同じ物質を異なる階調の顔料として利用しており、最大で100 μmを超える粒子も使用される。しかしながら、資源枯渇による価格高騰が問題となっており、人工的に合成することが試みられてきた。無機銅塩の合成自体は容易であるが、日本画用顔料となる100 μmを超える粒子の育成はいまだに困難である。
塩濃度勾配法は結晶化剤となる塩の濃度勾配を空間的・時間的に構築することにより過飽和度を制御して結晶育成する方法であり、良質で大きなタンパク質結晶の育成に用いられてきた手法である。本研究では、塩濃度勾配法を無機銅塩結晶の育成に展開する事で、これまでに得られていない良質で大きな無機銅塩結晶の育成および結晶構造解析を行う。
実験 / Experimental
水溶性銅塩水溶液を出発原料とし、炭酸水素カリウムを結晶化剤として塩濃度勾配法により試料を作製した。実験条件として、銅水溶液濃度、炭酸水素カリウム量、温度を変化させ、得られた結晶の初期評価を粉末X線回折、光学顕微鏡および走査型電子顕微鏡で行って単結晶構造解析に適した試料を厳選した。単結晶構造解析は多環境場対応型X線単結晶構造解析装置(NM-201, 株式会社リガク XtaLAB Synergy-R/DW Custom)で行った。
結果と考察 / Results and Discussion
塩化銅や硝酸銅を出発原料として用いることで、塩基性銅塩であるanatacamite(Cu2(OH)3Cl), atacamite(Cu2(OH)3Cl), rouaite(Cu2(NO3)(OH)3)、malachite(Cu2(CO3)(OH)2)に加えて、銅カルボナト錯体のカリウム塩の結晶が得られた。銅カルボナト錯体のカリウム塩はいくつかの合成例が報告されているが、いずれも結晶構造は明らかになっていない。単結晶構造解析の結果、本研究で得た銅カルボナト錯体のカリウム塩は組成式がK2Cu3(CO3)3(OH)・3H2O、空間群P-3c1で格子定数がa = 12.2940(3)Å, c = 9.5242(2)Åであった。Fig.に示すようにKは結晶構造中で大きな非等方性温度因子を有しており、結晶構造中には二つのサイトに部分占有していた。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
Fig. The crystal structure of K2Cu3(CO3)3(OH)・3H2O
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件