【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.06.10】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23NM0085
利用課題名 / Title
出土遺物から探る非鉄金属生産技術の解明
利用した実施機関 / Support Institute
物質・材料研究機構 / NIMS
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)その他/Others(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
非破壊,出土遺物,金属生産,X線回折/ X-ray diffraction
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
沓名 貴彦
所属名 / Affiliation
国立科学博物館
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
松下能孝
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
中世室町期の非鉄金属生産技術の解明を目的に、遺跡から出土する生産関連遺物に着目して非破壊調査を実施している。江戸時代に盛んに利用された真鍮は、近年戦国期から用いられた材料と認識が変化している。なかでも、銅とともに真鍮の主要成分である亜鉛は、当時の日本では生産できないため輸入品であった。そのため真鍮は、真鍮インゴットの輸入による利用、原材料である亜鉛を輸入して国内における真鍮生産による利用など、材質とともに生産における発展段階や各地における差異などを検討する必要があるものの、詳細は未解明なままである。
今回、青森県八戸市の櫛引遺跡から出土した銅塊に蛍光エックス線分析を行った結果、銅塊の材質が真鍮と考えられた。北東北の青森県でこの材質が確認されたものの、前述のように材質以外にも多角的な検討が必要なため、銅塊の結晶構造などを非破壊で調査する必要が生じた。そこで、文化財資料に対し調査可能なエックス線回折を使用して実施した。
実験 / Experimental
使用機器は、SmartLab3(リガク製)である。
文化財に対する調査では非破壊による手法が基本であり、通常遺物をサンプリングしての破壊調査は行わない。加えて非破壊であっても粘着テープや接着剤などを用いてサンプルホルダーなどに固定する事も厳しいため、基本的にそのままの据え置き状態で実施する必要がある。そのためエックス線回折では、水平試料台に置いた状態のままで管球や検出器が動いてデータを取得可能な機器の使用が必須である。そこで、資料は試料台にそのまま置き、資料上面の高さ位置を測定面に合わせるためZ軸を移動させ、目視で位置合わせを行った。
測定条件は、管電圧40kV、管電流30mA、スキャンスピード0.1°/min、ステップ幅0.02°、スキャンレンジ5-100°であり、大気下、室温中で実施した。
結果と考察 / Results and Discussion
測定の結果、強度ではキュプライト(Cu2O)を最も強く確認し、次にマラカイト(Cu2(CO3)(OH)2)、僅かにハイドロジンサイト(Zn5(CO3)2(OH)6)であった。本測定における定量結果では、マラカイトが最も高く、次にキュプライト、ハイドロジンサイトの順であった。
表面は全体に緑青や様々な付着物に覆われており、金属部分を確認する事はできない。そのため表面は、酸化物や塩基性炭酸塩鉱物に覆われていることが確認された。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
借用調査を快諾頂いた八戸市埋蔵文化財センターに感謝致します。
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件