【公開日:2023.07.31】【最終更新日:2023.05.08】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
22MS0018
利用課題名 / Title
光制御タンパク質ケージの構造解析
利用した実施機関 / Support Institute
自然科学研究機構 分子科学研究所 / IMS
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)計測・分析/Advanced Characterization
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)次世代バイオマテリアル/Next-generation biomaterials(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
人工タンパク質, 光制御
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
石川 春人
所属名 / Affiliation
大阪大学大学院理学研究科
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
入谷 悠
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
秋山 修志
利用形態 / Support Type
(主 / Main)共同研究/Joint Research(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
生体内ではサブユニットの自己会合によりケージ状のタンパク質が形成されている。タンパク質ケージはイオンや小分子の輸送・貯蔵などに利用可能であり、ドラッグデリバリーなどへの応用も行われている。これまで天然タンパク質を改変する試みや、新規設計人工タンパク質など数多くの報告があるが、構造体の形成・崩壊を自在に制御する技術は未だ挑戦的な課題である。最近我々は複合体形成・崩壊が光制御可能な人工タンパク質複合体を設計した。しかし、今後の応用を考える際には複合体構造の決定が必須である。マテリアル先端リサーチインフラの支援により、新規設計人工タンパク質複合体のX線溶液散乱測定装置および単結晶X線構造解析を推進した。
実験 / Experimental
三角形状の三量体を形成する光制御人工タンパク質複合体を設計し、再構成タンパク質として調製した。この人工タンパク質は、光スイッチタンパク質Dronpaを基盤としており、期待通り緑色光によって複合体を形成し、青色光によって崩壊する特性を示した。この人工タンパク質複合体の実際の構造を明らかにするためにX線溶液散乱測定装置および単結晶X線構造解析を行った。
結果と考察 / Results and Discussion
設計上では三角形状の三量体であったが、X線溶液散乱測定から平行状の二量体であることが明らかとなった。特殊な形状であるためサイズ排除クロマトグラフィーで会合数を決定することは困難であったため、X線溶液散乱測定から二量体であることを決定できたことは大きな進展である。光制御二量体の場合においても内部の空間に小分子などの結合部位を導入することでケージとして機能することが期待できる。しかし、結合部位を設計するためには原子分解能構造が必要となる。そこで、単結晶X線構造解析に取り組んだ。現在、微結晶が得られつつあり、構造決定に向けて研究を推進している。 タンパク質複合体の会合数を決定する際に、もっとも簡便な方法はサイズ排除クロマトグラフィーである。当初、本研究対象である人工タンパク質複合体もサイズ排除クロマトグラフィーによる分子量推定から会合数の算出を行った。しかし、サイズ排除クロマトグラフィーは分子量だけでなく、タンパク質分子の形状によっても溶出位置が変化するため、特殊な形状を持つ人工タンパク質複合体では会合数の決定が困難であった。X線溶液散乱測定は分子の形状だけでなく正確な分子量の推定も可能であり、今回の共同利用研究により二量体であることが決定できた。今回の共同研究により得られた結果は、X線溶液散乱測定がタンパク質複合体研究において、形状だけでなく会合数の決定に強力な手法であることを示している。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件