【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.05.25】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23NM0075
利用課題名 / Title
高度な構造秩序を有する中間酸化物ガラスの局所構造解析
利用した実施機関 / Support Institute
物質・材料研究機構 / NIMS
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
二次電池/ Secondary battery,パワーエレクトロニクス/ Power electronics,核磁気共鳴/ Nuclear magnetic resonance
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
橋本 英樹
所属名 / Affiliation
工学院大学 先進工学部応用化学科
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
矢澤宏次,奥野怜
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
大木忍
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
NM-103:800MHzナローボア固体高分解能NMRシステム
NM-101:500MHz固体汎用NMRシステム
NM-102:500MHz固体高分解能NMRシステム
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
本研究では,従来の溶融急冷法では決してガラスにならない,アルミナのような中間酸化物のガラスが“2/3則”と“Zachariasen則”から完全に逸脱した,未踏のガラス材料群であると位置づけ,結晶のような高度な構造秩序を局所的に内包しつつガラス状態を保った,いわばガラスと結晶の境界領域に位置する,特異な中間酸化物ガラス群を創出することを目指す。これら開発したガラスの原子レベルでの構造を明らかにするための第一歩として,高分解能固体NMR測定を実施し,局所構造を明らかにする。
実験 / Experimental
金属アルミニウムのアノード酸化で得られた非晶質アルミナ,および硝酸アルミニウム水溶液に対して炭酸水素アンモニウム粉末を添加して生成した沈殿物を加熱して得られた非晶質アルミナ,これらの試料に対して高圧力を印加した試料を準備した。また,ナトリウムイオン伝導を示すシリケートガラスおよび結晶化ガラス,これらの試料にリンを添加した試料を準備した。800 MHzおよび500 MHzの固体核磁気共鳴分光装置を用いて回転速度10-20 kHzにて27Al核のMQMAS測定およびシングルパルス測定,23Na核,29Si核,31P核のシングルパルス測定を実施した。
結果と考察 / Results and Discussion
これまでの成果から,金属アルミニウムのアノード酸化で得られた非晶質アルミナはガラス転移を示すアルミナガラスであることが分かっている。その構造はAlO4,AlO5,AlO6多面体によって形作られており,平均配位数は約4.7であることがわかっている。この試料に対して所定の圧力を印加して作製した試料を27AlシングルパルスNMR測定を実施したところ,印加圧力の増加に伴い4配位と5配位が減少し,6配位が増加することが明らかになった。一連の測定から平均配位数が約5まで上昇することが明らかになった。MQMAS測定およびシングルパルス測定結果の詳細な解析によって,加圧によって四極子結合定数が大きくなり,Al周りの局所構造の歪みが増加することも明らかになった。沈殿法を利用して合成した非晶質アルミナには吸着水が多く含まれているため6配位が過剰に見積もられる問題があった。そこで真空中加熱脱水した試料をグローブボックス内で試料管に封入して測定を行ったところ,6配位が大幅に減少し,アノード参加で得られた非晶質アルミナと類似のスペクトルを得ることに成功した。ただし,スペクトルの線幅は両者で異なることから,合成法によって構造に違いはあると考えられる。ナトリウムイオン伝導を示すシリケートガラスおよび結晶化ガラスの23Na核,29Si核,31P核の測定結果からは,ガラスの組成を変化させる(基準となる組成にリンを添加する)ことでSiO4四面体の連結様式に違いが生じ,その結果,熱処理によって得られる結晶相が変化することが明らかになった。結晶相の23Na,29Si,31Pのスペクトルはこれまでに報告されているスペクトルに一致しているとともにXRDの結果とも良く一致していた。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件