【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.05.31】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23NM0073
利用課題名 / Title
黄斑上膜、黄斑円孔におけるプロテオーム解析
利用した実施機関 / Support Institute
物質・材料研究機構 / NIMS
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)次世代バイオマテリアル/Next-generation biomaterials(副 / Sub)マルチマテリアル化技術・次世代高分子マテリアル/Multi-material technologies / Next-generation high-molecular materials
キーワード / Keywords
黄斑上膜, プロテオーム,質量分析/ Mass spectrometry
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
山本 瑠璃
所属名 / Affiliation
日本大学 医学部附属板橋病院
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
鈴木佑典
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
服部晋也,竹村太郎
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
黄斑円孔は60歳以上に発症する特発性の疾患であり、放置すると不可逆的な視力低下を招くため硝子体手術を施行することが一般的である。黄斑円孔は生理的に50~60歳代で起こる後部硝子体剥離の際に黄斑部と硝子体の癒着が強く牽引されると円孔を形成し、発症する。黄斑上膜は、60歳以上の7~34%に認められる疾患であり、黄斑上膜は進行性や可逆性のものがあり、一般的に視力障害や歪視などの症状が強い場合に硝子体手術を施行する。黄斑上膜は硝子体手術全体の10%以上を占めるとされており、発症メカニズムとしては加齢による後部硝子体剥離の際にグリア細胞が増殖するためと考えられているが、原因としては炎症によるものや裂孔によって色素が散布されることによるものなど多岐にわたる。 上記のいずれの疾患においても硝子体液のタンパク解析や剥離した黄斑上膜の検体を解析した報告がある¹ ²が、病態解明には至っておらず、また、近年光干渉断層計を用いた黄斑上膜を画像所見によるステージ分類ではステージ進行に伴い有意に視力低下を認めた³。本研究の目的は黄斑円孔や黄斑上膜のタンパク解析を行うことで原因を検索し、進行に影響する因子や病態を解明することである。
実験 / Experimental
患者から同意を得て、手術時に硝子体液と黄斑上膜検体を採取する。硝子体液は各検体200㎍相当を用いて糖タンパク精製後に濃縮し、膜検体は全量を用いて溶解液を作成し、濃縮。その後それぞれ還元アルキル化、トリプシン消化、脱塩処理を行う。以上の工程を終えた検体をNIMSに持参し、LC-MS によるプロテオーム解析を行う。
結果と考察 / Results and Discussion
タンパク定量では各検体のタンパク濃度は0.52~6.15㎍/㎕であっ た。初回のLC-MSによる硝子体検体タンパク同定数は初回測定時に78~117種類であった。その後、LC-MSへ充てる各検体のタンパク量を上限である30㎍から15㎍に減らして測定を実施したところ硝子体内のタンパク同定数は146~506種類まで増加した。硝子体はアルブミンや免疫グロブリンが多くを占めており、それら主要タンパクをカラムにて除去したところ、すべての検体に共通してみられるタンパク数は111であった。膜検体はピペッティング操作による破砕を試みたが膜の形状は保たれており固形物が確認され、結果タンパクは同定されなかった。今後は膜検体の破砕処理方法を変更した上で再度測定を試み、硝子体検体については調整方法による同定されたタンパクの変化について詳細に検討する予定。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
1) Zhang P, Zhu M, Zhao Y, Qian J, Dufresne C, Turner R, Semba RD, Solomon SD. A proteomic approach to understanding the pathogenesis of idiopathic macular hole formationClin Proteomics. 2017 15; 14:372) Christakopoulos C, Cehofski LJ, Christensen SR, Vorum H, Honoré B. Proteomics reveals a set of highly enriched proteins in epiretinal membrane compared with inner limiting membraneExp Eye Res. 2019; 186:107722.3) Govetto A, Lalane RA, Sarraf D, Figueroa MS, Hubschman JP. Insights into epiretinal membranes: Presence of ectopic inner foveal layers and a new optical coherence tomography staging scheme Am J Ophthalmol. 2017Mar; 175: 99-11
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件