利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.04.19】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23NM0044

利用課題名 / Title

幹細胞の機能を調節する優れた幹細胞足場の作製と観察、性能評価

利用した実施機関 / Support Institute

物質・材料研究機構 / NIMS

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)計測・分析/Advanced Characterization

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)次世代バイオマテリアル/Next-generation biomaterials(副 / Sub)マルチマテリアル化技術・次世代高分子マテリアル/Multi-material technologies / Next-generation high-molecular materials

キーワード / Keywords

マイクロパターン基材,バイオアダプティブ材料/ Bioadaptive materials,生分解性材料/ Biodegradable material,生体イメージング/ In vivo imaging,リソグラフィ/ Lithography,細胞・組織再生誘導材料/ Materials for inducing cell and tissue regeneration,細胞培養デバイス/ Cell Culture Device


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

角南 寛

所属名 / Affiliation

琉球大学 医学部先端医学研究センター

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

傳田淳子,清水雄介

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

大井暁彦,渡辺英一郎,大里啓孝

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub),技術補助/Technical Assistance


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

NM-637:マスクアライナー [MA-6]
NM-614:CCP-RIE装置 [RIE-200NL]
NM-616:シリコンDRIE装置 [ASE-SRE]
NM-621:FE-SEM [S-4800]
NM-649:FE-SEM+EDX [SU8230]


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

私は、ヒトの各組織(臍帯、臍帯血、骨髄、骨髄液、滑膜、脂肪、歯髄、皮膚など)に含まれる様々な体性幹細胞を抽出し、これを培養する独自技術の開発を行っている。ヒトの各組織に含まれる様々な体性幹細胞を効率よく抽出し、同時にその機能(増殖能、遊走能、代謝能、分化能)を高める独自技術を開発することで、体性幹細胞を用いた再生治療の発展に繋げようと考えている。各組織より効率良く体性幹細胞を抽出するために、組織を播種するだけで、体性幹細胞を抽出しながら培養できるマイクロパターン基材を開発中である。また、各体性幹細の機能発現に最適なマイクロパターン基材を開発し、その機能を高める検討を行う。ちなみに、開発中のマイクロパターンの形状の詳細は記述できない。私はこういったマイクロパターンの形状を組織や体性幹細胞ごとに最適化し、新たな体性幹細胞抽出培養技術の確立を目指す。当該施設ではこの研究に使用するマイクロパターンを有する基材の作製や表面処理、洗浄、観察を行った。

実験 / Experimental

1 cm角もしくは2 cm角の熱酸化膜600 nm付きシリコンウェハ上にフォトリソグラフィを用いて様々な形状のマイクロパターンを作製した。パターン作製には、マスクアライナー、多目的ドライエッチング装置やシリコン深掘りエッチング装置、走査電子顕微鏡、プラズマアッシャーなどを用いた。パターン作製後、走査電子顕微鏡およびカラーレーザー3D顕微鏡VK-9700(キーエンス㈱)を用いて、各マイクロパターンの三次元的な形状を観察した。得られたマイクロパターンの形状像から、各マイクロパターンの空孔率や深さ、基本形状のサイズ等が求められた。作製されたマイクロパターンは、細胞培養に用いられる前に表面処理と滅菌、脱気が行われた。表面処理は、多目的ドライエッチング装置を用いたO2プラズマ処理による親水化である。滅菌はオートクレーブ滅菌である。脱気は、培地に浸漬された状態での減圧脱気である。これらのマイクロパターン上にヒトの各組織を播種し、組織から体性幹細胞が這い出してくる過程をタイムラプス観察した。その後、再度O2プラズマ処理およびHF洗浄を実施し、マイクロパターンの再生を試みた。利用装置の機種:多目的ドライエッチング装置(RIE-200NL)、シリコン深掘りエッチング装置(MUC-21 ASE-SRE)、走査電子顕微鏡(S-4800)、マスクアライナー(MA6 BSA)

結果と考察 / Results and Discussion

フォトリソグラフィ技術を用いて、ほぼ設計通りのマイクロパターン基材を作製できた。ただし、三次元的な構造の頂角が丸くなっているため、これを鋭くする条件検討が必要だと考えている。今回作製されたマイクロパターン基材のうち、体性幹細胞の抽出能力が極めて高いものを見つけることができた。また、マイクロパターン基材上で各体性幹細胞を迅速に大量培養することにも成功した。体性幹細胞ごとに好みのマイクロパターン基材があることが判明している。更に、O2プラズマ処理およびHF洗浄により、マイクロパターンの再生を試み、マイクロパターン表面から完全に細胞を除去することができた。今後は、マイクロパターン基材を用いて、各体性幹細胞の遊走能や代謝能、分化能などを向上させる検討を実施する予定である。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
  1. Hiroshi Sunami, Shape of scaffold controlling the direction of cell migration, Biophysics and Physicobiology, 21, n/a(2024).
    DOI: 10.2142/biophysico.bppb-v21.0004
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:1件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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