利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.04.22】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23NM0038

利用課題名 / Title

Ni異方性エッチングを用いたダイヤモンド基板の微細加工及びAu蒸着による微細回路の作製

利用した実施機関 / Support Institute

物質・材料研究機構 / NIMS

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

半導体微細構造,スピン制御/ Spin control,蒸着・成膜/ Vapor deposition/film formation,光リソグラフィ/ Photolithgraphy


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

伊牟田 航基

所属名 / Affiliation

慶應義塾大学 理工学部物理情報工学科

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

大坪 楓季,菊池 春輝,板橋 佑真

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

渡辺 英一郎,大井 暁彦

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

NM-604:マスクレス露光装置 [DL-1000/NC2P]
NM-643:電子銃型蒸着装置 [UEP-3000BS]


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

近年、生体分野等で超高感度なセンサーの需要が高まっており、物質の量子状態を利用して物理量を測定する「量子センサ」が注目されている。その実用化候補の1つとしてダイヤモンド中窒素空孔中心(NVセンター)が注目されている。NVセンターはダイヤモンド中の隣接した炭素原子が窒素原子と空孔に置換した欠陥構造であり、その電子スピン特性から、室温常圧下での高感度・高空間分解能な量子センサとしての応用が期待されている。NVセンターを用いて高感度な量子センサを実現するためには、窒素と空孔の並ぶ方向(配向方向)の揃った高配向率NVサンプルの作製が重要である。本研究では微細加工を施したダイヤモンド基板上での高配向率NVサンプルの作製・評価、およびNVセンターを用いた微細回路の電場・磁場・温度イメージングの実証を目的としている。
本研究グループはNVサンプル作製に際し、ダイヤモンド基板に「Ni異方性エッチング」とよばれる加工手法で微細加工を施し、その上で窒素ドープCVD成長を行って、生成位置制御された高配向率NVセンターの生成を行う。このうち基板に微細加工を施す過程をNIMSにて行った。マスクレス露光によって任意のパターンを作成し、電子銃型蒸着装置でNi薄膜を蒸着させた。また、これに加えて、NVセンターを用いた電場・磁場・温度イメージングの対象としての微細回路の作製を行った。具体的には、ガラス基板上にマスクレス露光によって回路パターンを作成し、電子銃蒸着装置でCrやAuを蒸着させて微細回路を作製した。使用した装置はマスクレス露光装置(DL-1000/NC2P)、電子銃型蒸着装置(UEP-3000BS)の2つである。

実験 / Experimental

【ダイヤモンド微細加工】
①ダイヤモンド基板とそれを加工しやすいよう固定するためのSi基板をアセトンで5分間超音波洗浄した。洗浄後はIPAに浸して置換し、窒素ブローして乾燥させた。
②洗浄後のダイヤモンド基板をPMMA A6を用いてSi基板に貼り付けした。Si基板上の固定位置にPMMA A6を微量に滴下し、ダイヤモンド基板を載せて、110℃で2分、180℃で10分焼成して固着させた。
③貼り付けした基板にスピンコータを用いてレジストを塗布した。スピンコータは、3000rpmで60秒間回転、その前後に0.5秒のSlopeを設けるように設定した。初めにHMDSを滴下してスピンコータを回転させた。続けて、LOR5Aを滴下してスピンコータを回転させ、停止後180℃で5分焼成した。最後にAZ5214Eを滴下し、スピンコータを回転させ、停止後110℃で2分焼成した。
④マスクレス露光装置を用いてパターニングを行った。パターンはAR-CADを用いて作成し、装置マニュアルに従ってレシピファイルに変換した。露光のドーズ量は100 mJで行った。
⑤TMAH2.38%現像液を用いて現像を行った。露光した基板を現像液中で60秒間、純水中で30秒間かき回し、現像を行った。現像後はパターニングができているか顕微鏡を用いて確認した。
⑥電子銃型蒸着装置を用いてNi薄膜を蒸着した。蒸着レートは0.2 nm/s程度で膜厚200 nm程度堆積させた。
⑦NMPを用いてリフトオフを行った。80℃に加熱したNMP中に基板を浸漬し、30分程度放置してリフトオフを行った。

【回路蒸着】
①ガラス基板を純水で5分、アセトンで5分、IPAで5分、再度純水で5分の順に超音波洗浄した。洗浄後は窒素ブローして乾燥させた。
②洗浄した基板にスピンコータを用いてレジストを塗布した。スピンコータは、3000rpmで60秒間回転、その前後に0.5秒のSlopeを設けるように設定した。初めにHMDSを滴下してスピンコータを回転させた。続けて、LOR5Aを滴下してスピンコータを回転させ、停止後180℃で5分焼成した。最後にAZ MiR-703を滴下し、スピンコータを回転させ、停止後110℃で1分焼成した。
③マスクレス露光装置を用いてパターニングを行った。パターンはAR-CADを用いて作成し、装置マニュアルに従ってレシピファイルに変換した。露光のドーズ量は80 mJで行った。
⑤TMAH2.38%現像液を用いて現像を行った。露光した基板を現像液中で60秒間、純水中で30秒間かき回し、現像を行った。現像後はパターニングができているか顕微鏡を用いて確認した。
⑥電子銃型蒸着装置を用いてCrやAuを蒸着した。蒸着レートはいずれも0.2 nm/s程度で、Crを10 nm堆積した上にAuを200 nm堆積させた。
⑦NMPを用いてリフトオフを行った。80℃に加熱したNMP中に基板を浸漬し、60分程度放置してリフトオフを行った。

結果と考察 / Results and Discussion

ダイヤモンド微細加工では、ダイヤモンド基板上に数µm~数十µmサイズのパターンでNi薄膜を蒸着することに成功した。
また、微細回路の作製では、µmスケールの微細回路を作製することに成功した。
今後は、基板の微細加工の精度を向上させるとともに、パターニングを変化させることで加工形状を工夫することにも取り組んでいく。また、作製した微細回路を用いて実際にNVセンターを使用した電場・磁場・温度のイメージングにも取り組んでいく。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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