【公開日：2023.07.31】【最終更新日：2023.04.27】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22MS0013

利用課題名 / Title

有機結晶表面に作成した電解質トランジスタと歪印加を併用した新奇物性探索

利用した実施機関 / Support Institute

自然科学研究機構 分子科学研究所 / IMS

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】（主 / Main）物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis（副 / Sub）-

【重要技術領域 / Important Technology Area】（主 / Main）マテリアルの高度循環のための技術/Advanced materials recycling technologies（副 / Sub）量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions

キーワード / Keywords

電荷移動錯体、金属絶縁体転移、超伝導、歪印加、トランジスタ

利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名（課題申請者）/ User Name (Project Applicant)

伊東 裕

所属名 / Affiliation

名古屋大学大学院工学研究科応用物理学専攻

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

馬場　勇佑

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

山本　浩史

利用形態 / Support Type

（主 / Main）共同研究/Joint Research（副 / Sub）-

利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

MS-301：有機FET

報告書データ / Report

概要（目的・用途・実施内容）/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

κ型BEDT-TTF（ET）塩等の電荷移動錯体の示す金属絶縁体転移・超伝導転移について、山本教授との共同研究により、薄片結晶を貼付したプラスチック基板を凹面に折り曲げて圧縮、凸面に折り曲げて伸長歪を加えた歪制御と、イオン液体を用いた電気二重層トランジスタにより、圧力・フィリング同時制御による超伝導探索と電子相転移のメカニズム解明を目指している。本年度は、薄片結晶の合成と、結晶を貼付した基板を加えることにより、金属絶縁体転移と超伝導転移の引張歪による制御を行った.

実験 / Experimental

β-(ET)₂I₃およびκ-(ET)₂Cu(NCS)₂について、山本グループの所有する合成装置を用いて薄片結晶を作製し、プラスチック基板上に貼り付け基板を凸面に折り曲げて引張歪を加えて4端子測定（図１右上挿入図参照）を行い、常圧での金属状態から絶縁体への相転移が見られるか調べた。

結果と考察 / Results and Discussion

β-(ET)₂I₃について、引張歪の印加により、正常金属相から、絶縁体に近接した異常金属相へのクロスオーバーを表す電気抵抗の温度依存性の変曲点、およびT²則からのずれを示す温度が低温側に移動し、異常金属相に近づくことが分かった。また、より絶縁体側に近いκ-(ET)₂Cu(NCS)₂では、負の圧力によって、絶縁体挙動が見られることを見出した。これらの結果より、両物質がκ-(ET)₂Cu[N(CN)₂]X (X=Br,Cl)の実験をもとに作られた相図(図1, 各物質を陰イオン名で示す)上の圧縮（高圧）側に位置し、負圧の印加により絶縁体に近づくことを実験的に明らかにした。今後は、引張歪を加えた状態でイオン液体を塗布し、ゲート電圧印加による金属絶縁体転移のフィリングによる制御を行う予定である。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations

図1.  κ-(ET)₂X系の相図

その他・特記事項（参考文献・謝辞等） / Remarks(References and Acknowledgements)

成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング（DOIのあるもの） / DOI (Publication and Proceedings)

口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.

1. 伊東裕、田中文也、竹延大志、広部大地、山本浩史「α型およびβ型(BEDT-TTF)₂I₃における歪印加効果」日本物理学会2022年秋季大会（東京工業大学）

特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications：0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents：0件