【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.04.05】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23NM0015
利用課題名 / Title
異なる包接率を有するポリロタキサンの合成条件適正化
利用した実施機関 / Support Institute
物質・材料研究機構 / NIMS
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)次世代バイオマテリアル/Next-generation biomaterials(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
バイオアダプティブ材料/ Bioadaptive materials,核磁気共鳴/ Nuclear magnetic resonance,細胞・組織再生誘導材料/ Materials for inducing cell and tissue regeneration
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
窪田 陸
所属名 / Affiliation
株式会社高研
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
服部晋也 博士
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
生体高分子で構成されるバイオマテリアルの高強度化・柔軟化は、再生医療用足場材料等への応用が期待される。アテロコラーゲンは低抗原性かつ臨床使用実績を有しているため、再生医療用足場材料の有望な候補である。しかし、強靭性を有するアテロコラーゲン材料の創製と医療応用は未だ挑戦的課題である。最近我々は、独自合成したアルデヒド基を有するポリロタキサンを架橋剤として用い、アテロコラーゲン糸の力学特性の向上を報告した (Polyrotaxane-Reinforced Atelocollagen Threads, PRATs) [1]。本研究では、ポリロタキサンの軸ポリマー鎖長及びシクロデキストリン包接率がPRATsの力学特性に及ぼす影響を検討した結果、更なる強靭化を達成したので報告する (Figure 1)。
実験 / Experimental
ポリエチレングリコール (Peg) を軸ポリマーとする包接率20mol%のPR (PegPRαCD1) 及びPeg-ポリプロピレングリコール (Ppg)-Pegトリブロック共重合体 (Pluronic) を軸ポリマーとする包接率6mol%のPR (PluPRβCD1) を合成した。合成の確認は、物質・材料研究機構が所有するNMR装置 (ECS-400) を用いた。1H NMR測定におけるアルデヒド基の検出では、1,1-ジメチルヒドラジンを標識試薬として用いた。PRATsは下記の方法で作製した: まず、アテロコラーゲン溶液をリン酸緩衝液 (pH 7) に押出した。次に、アテロコラーゲン糸 (AtCol) は各種PRを溶解したホウ酸緩衝液 (pH 8.5) に浸漬させ、2段階還元的アミノ化により架橋した。最後に、糸の表面を洗浄し自然乾燥後、枠体固定することでPRATsサンプルを作製した。力学特性は島津マイクロオートグラフを用い湿潤条件下で評価した。
結果と考察 / Results and Discussion
NMR測定の結果、シクロデキストリン包接率とアルデヒド基導入率が一致したことから所望のPRが合成されていることを確認した (Figure 1)。合成確認は、FT-IR測定及びTGA測定からも支持された。湿潤条件下でPRATsの引張試験を行った結果をFigure 2に示す。AtColをPegPRαCD1及びPluPRβCD1で架橋することにより力学特性が向上した (Figure 2a)。一方、いずれのPRにおいても有意な分子量依存性は観られなかった。興味深いことに、PluPRβCD1 (包接率6mol%) 架橋によりPRATsの力学特性の更なる向上が観られた (Figure 2b)。即ち、PRATsの強靭化にはPRの高分子量化よりも低包接率化が重要と考えられる。本研究は、再生医療を指向したアテロコラーゲン材料の強靭化へ向けた大きな足掛かりになると期待される。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
Figure 1. Schematic illustration of PRs for PRATs. Pluronic: Peg-polypropylene glycol (Ppg)-Peg triblock copolymer
Figure 2. (a) Representative stress-strain curves; (b) Toughness of AtCol alone and PRATs. *p < 0.01. **p < 0.05 (Tukey’s test).
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
[1] R. Kubota et al., React. Funct. Polym., 2023, 182, 105462.【謝辞】本研究の遂行にあたり1H NMR測定で多大なご協力を頂きました、国立研究開発法人 物質・材料研究機構 材料創製・評価プラットフォーム バイオ分析ユニット 服部晋也博士にこの場をかりて御礼申し上げます。
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
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Riku Kubota, Synthesis, Characterization, and Potential Application of Cyclodextrin-Based Polyrotaxanes for Reinforced Atelocollagen Threads, Polymers, 15, 3325(2023).
DOI: https://doi.org/10.3390/polym15153325
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:2件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件