【公開日:2023.07.31】【最終更新日:2023.05.08】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
22MS0010
利用課題名 / Title
光励起三重項の電子スピン特性評価
利用した実施機関 / Support Institute
自然科学研究機構 分子科学研究所 / IMS
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)計測・分析/Advanced Characterization
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions(副 / Sub)マテリアルの高度循環のための技術/Advanced materials recycling technologies
キーワード / Keywords
電子スピン偏極、ESR、光励起三重項、ラジカル
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
楊井 伸浩
所属名 / Affiliation
九州大学大学院工学研究院
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
山内 朗生
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
中村 敏和
利用形態 / Support Type
(主 / Main)共同研究/Joint Research(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
近年の第二次量子革命がおこる中、量子ビットを用いた量子センシング技術が注目を集めている。しかし、これまで量子ビットとして働く有機分子の種類は限られ、量子センシングに用いた例も限られる。そこで本研究では、パルスレーザーと電子スピン共鳴(ESR)を用いることにより、光励起状態における有機分子の量子ビット特性を評価した。
実験 / Experimental
測定には電子スピン共鳴装置(E-680)を用いた。光励起にはSpectra Physics Quanta-Lay Nd:YAGを用いて発生させた波長532 nm、強度 数mJ のパルス光を用いた。サンプルとしては多孔性金属錯体中に色素をゲスト分子として少量ドープしたものや、色素を含む配位子を用いて多孔性金属錯体中に密に色素を集積したものを用いた。
結果と考察 / Results and Discussion
構造を柔軟に変化させることが出来る多孔性金属錯体MIL-53中に色素分子としてジアザテトラセン(DAT)を少量導入したサンプルのパルスESR測定を行った。DATのみがドープされた際のコヒーレンス時間T2は0.1 µsであったのに対し、ベンゾフェノンやピリジンといったゲスト分子を更に導入することでT2が1 µs程度まで長くなるという興味深い結果が得られた。各種ESR、分光測定より、DATの運動性が変化していることが原因であると示唆された。 DATにピリジンを修飾した配位子を用いてZnイオンと錯形成させることにより合成した新規多孔性金属錯体のESR測定を行った。光励起によりDATのトリプレットに加えてDATのラジカルに由来する偏極シグナルが観測され、ラジカルのスピン格子緩和時間が274 µsと極めて長いという驚くべき結果が得られた。過渡ESR、cw-ESR、パルスESRの測定を組み合わせることで、偏極ラジカルの同定と生成過程の理解を達成した。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
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Akio Yamauchi, Quantum chemical sensing using molecular triplet qubits in a flexible metal–organic framework, , , (2022).
DOI: 10.26434/chemrxiv-2022-4hnsj
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Kana Orihashi, Spin-Polarized Radicals with Extremely Long Spin-Lattice Relaxation Time at Room Temperature in a Metal-Organic Framework, , , (2023).
DOI: 10.26434/chemrxiv-2023-2mrsw
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- 楊井伸浩 "Exploring spin functions in metal–organic frameworks" アジア国際シンポジウム―無機化学ディビジョン /錯体化学・有機金属化学ディビジョン―, 2023年3月23日, 日本化学会 第103 春季年会
- 楊井伸浩 "分子性材料の光励起三重項を用いたスピン機能" 未来材料セミナー, 2022年12月13日, オンライン
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件