利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.07.22】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23YG0049

利用課題名 / Title

PA/EVOH/変成ETFEリアクティブブレンドの組成がレオロジーに与える影響

利用した実施機関 / Support Institute

山形大学 / Yamagata Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マルチマテリアル化技術・次世代高分子マテリアル/Multi-material technologies / Next-generation high-molecular materials(副 / Sub)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion

キーワード / Keywords

ポリマーブレンド, アロイ,衝撃性, 水素,成形/ Molding,異種材料接着・接合技術/ Dissimilar material adhesion/bonding technology,コンポジット材料/ Composite material,燃料電池/ Fuel cell,水素貯蔵/ Hydrogen storage,高強度・生分解性プラスチック/ High-strength, biodegradable plastic


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

深澤 陸

所属名 / Affiliation

山形大学工学部高分子・有機材料工学科

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

YG-001:ツインドライブ型レオメータ


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

現在、水素タンクの樹脂ライナ層に使われているPA6よりも水素ガスバリア性の高い樹脂 を使用できれば薄膜化による軽量化とそれに伴う水素ガス充填量の増加が可能になり燃費向上が期待される。さらに 現在は射出成形と溶着という二段階のプロセスによってタンクを作製しているが、ブロー成形により 一体成形で作製することができれば製造時間の短縮とコスト削減が見込まれ大量生産が可能になる。以上のことから今後のプラスチックライナーに求められる特性は常温、低温での機械特性、水素ガスバリア性、溶融成形性である。これまでの当研究グループでは、PA6/EVOHに酸変成エチレン-テトラフルオロエチレン交互共重合体(m-ETFE)を添加することで反応押出が生じ、m-ETFEがきわめて微細に分散し、強度が向上することを見出した。さらに溶融時の弾性が向上し、伸長流動下においてひずみ硬化性を示すことを報告している。本研究では、さらに低温での衝撃特性改善のためにPA6をPA6-12に変更し、分子量を18,000から30,000に増加し、ガスバリア性を向上させるためにEVOHのエチレン含有量を32%から24%に変更した。このPAとEVOHの違いがm-ETFEとのリアクティブブレンドのレオロジーに与える影響について検討した。

実験 / Experimental

PA/EVOHの二成分系のブレンドとPA/EVOH/m-ETFEの三成分系のブレンドを用意した。二成分系のブレンドではPAとEVOHを用い、75/25(wt%)でドライブレンドした。その後二軸混練機(Xplore MC15C、Xplore Instruments製)を用い240℃、50rpmの状態で10g充填しPA/EVOH、75/25(wt%の)ブレンドを10g作成したPA/EVOH/m-ETFEの三成分系のブレンドではまずPA6とm-ETFEを用い、52.5/30(wt%)でドライブレンドした。PA6とm-ETFEを二軸混練機を用い240℃、50rpmの条件で8.25g充填し3分混錬、その後EVOHを1.75g投入して3分混錬することでPA/EVOH/m-ETFE、52.5/17.5/30(wt%)ブレンドを10g作成した。粘弾性はツインドライブ型レオメータ (装置ID:YG-001)を用い、パラレルプレート(アルミディスポーザブル)にて測定を行った。サンプルは直径25mm、厚み1mmのサンプルを用いた。測定温度は240℃、ひずみは3%で行った。

結果と考察 / Results and Discussion

 図1に相溶系ブレンドにm-ETFEを添加した三元系のG‘の値を示す。三元系ではどの系においてもそれぞれの単体よりも高いG’の値を示した。このことからPA6とm-ETFE間あるいはEVOHとm-ETFE間でグラフト共重合体が生成されていることが示唆される。図2に示すように三元系においてはどの系においても前述した二元系に比べてより顕著なひずみ硬化性を示した。これは界面でグラフト共重合体が生成され、マトリクス相に存在する側鎖が縫い目のように固定されることで主鎖が伸長変形する際に抵抗力が発生したためであると考えられる。Lopez らは非相溶系 PE/PP ブレンドに主鎖 PE,側鎖 PP のグラフト共重合体を添加したことでひずみ硬化性の発現を確認しており、その際の分子の伸長モデルを考察している図3のように側鎖が固定されているため、伸長変形時に主鎖が完全に伸びきろうとすると抵抗力が発生してしまう。この際発生する抵抗力がひずみ硬化性として現れたと考えられる。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


図1 単体と三元系ブレンドにおける貯蔵弾性率G' 240℃



図2  三元系ブレンドにおける一軸伸長粘度T=240℃



図3 伸長流動下におけるグラフト共重合体を有する非相溶ブレンド界面の模式図


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

 Carlos R. Lopez-Barron, Andy H. Tsou, Macromolecules, 50, 7, 1986-2995 (2017)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 山形大学工学部高分子有機材料工学科 卒業研究発表会 R6.2.14.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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