【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.07.22】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23YG0048
利用課題名 / Title
複数回押出されたポリプロピレンの強度と粘弾性挙動
利用した実施機関 / Support Institute
山形大学 / Yamagata Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マテリアルの高度循環のための技術/Advanced materials recycling technologies(副 / Sub)マルチマテリアル化技術・次世代高分子マテリアル/Multi-material technologies / Next-generation high-molecular materials
キーワード / Keywords
粘弾性, リサイクル, ポリプロピレン,成形/ Molding,高強度・生分解性プラスチック/ High-strength, biodegradable plastic,易循環型材料設計技術/ Recycling-friendly material design technology
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
稲岡 龍紀
所属名 / Affiliation
山形大学工学部高分子・有機材料工学科
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
近年、世界的なプラスチック需要の増大に伴い、プラスチック廃棄物の適切な処理が大きな社会問題となっている。プラスチック廃棄物を減量化し資源として再利用することは、廃棄物処理コストの削減や二酸化炭素排出量の抑制につながる重要な課題である。特にポリプロピレン(PP)は汎用プラスチックとして用途が多岐にわたっており、そのリサイクル技術の確立が求められている。PPのリサイクル方法として、使用済みPPを回収、選別、破砕した後、押出機や射出成形機を用いるマテリアルリサイクルがある。しかし、マテリアルリサイクルでは、主に高圧、高温、せん断などが影響されるため、構造に変化が生じるという課題がある。その結果、リサイクルにおける劣化の程度とメカニズムを理解することが重要になる。ホモ PPとICPPの2種類のPPを用いて、二軸押出機を用いた複数回押出による熱とせん断の影響について、強度、レオロジー、化学発光の観点から検討を行った。
実験 / Experimental
試験片は熱プレス機(MINI-TEST PRESS,(株)東洋精機製作所)を用いて、温度200 ℃、溶融時間5分、 5 MPaで5分プレス後、冷却は25 ℃、5 MPaで1分、圧縮成形により、直径25 mm、厚さ1 mmのディスクを作製した。動的粘弾性測定はツインドライブ型レオメータ (装置ID:YG-001)(Physica MCR 702,Anton Paar 社製)を使用し、測定治具は直径25mmのパラレルプレートを用い、治具と下部ステージ間は1 mm、窒素雰囲気下で測定を行った。まず、ひずみ依存測定を温度180 ℃、角周波数1 rad/s、溶融時間5分で行い、与えるひずみを決定した。この測定から線形領域を確認し、周波数依存測定を角周波数10-2 ~ 102 rad/s、ひずみ1 %、溶融時間5分、測定温度180℃~260℃で測定した。
結果と考察 / Results and Discussion
図1にH-PPにおける、180℃を基準として時間温度換算則に従ってシフトさせて作成したマスターカーブ動的粘弾性測定の結果を示す。貯蔵弾性率G’が押出回数が増えると、低周波数側で減少していく傾向がみられる。これは分子鎖の切断に起因しているものと考えられる。図2にホモPPについて260,240,220,200,180℃における複素弾性率の絶対値|G*|の対数に対する損失角d、van Gurp-Palmenプロットを示した。押出回数が増えても温度の異なるデータが重なったため温度時間換算則(TTS)が成り立つことがわかる。
図3にホモPPと同様に測定したICPPのvan Gurp-Palmenプロットを示す。ICPPでは3回以上ではデータが重ないことがわかった。H-PPでは図2に示すように押出を増やしてもカーブの形は似ていたが、ICPPでは3回以上では低周波数域の曲線の形が変化して測定温度ごとのデータが重ならず、TTSが成り立たっていないことがわかった。これらのことから、押出回数が増えると、分子セグメントよりもずっと大きな構造で変化が起きている可能性がある。ICPPには重合時にエチレンと共重合されることにより、エチレンプロピレンエラストマー(EPR)成分に加えエチレン単独重合体が生成するが、測定温度によってこれらの構造に変化が起きていることが示唆される。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
図1 H-PPにおける(a)貯蔵弾性率G’と(b)損失弾性率G”の周波数依存性マスターカーブ T=260,240,220,200,180℃ , Tr=180℃
図2 H-PPの van Gurp-Palmenプロット(T=260, 240, 220, 200, 180℃)
図3 ICPPの原料, EX1, EX3, EX5の van Gurp-Palmenプロット(T=260, 240, 220, 200, 180℃)
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- 山形大学工学部高分子有機材料工学科 卒業研究発表会 R6.2.14.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件