【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.07.22】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23YG0044
利用課題名 / Title
2次元粒子複合材料の伸長レオロジー
利用した実施機関 / Support Institute
山形大学 / Yamagata Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マルチマテリアル化技術・次世代高分子マテリアル/Multi-material technologies / Next-generation high-molecular materials(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
ナノコンポジット,伸長粘度,ナノクレイ,成形/ Molding,コンポジット材料/ Composite material,成形/ Molding,コンポジット材料/ Composite material,高強度・生分解性プラスチック/ High-strength, biodegradable plastic
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
蜂谷 祥吾
所属名 / Affiliation
山形大学大学院有機材料システム研究科
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
2次元粒子を微分散した複合材料は、低ガス透過性と高い力学特性が期待される。しかし、一般的に粒子複合材料は溶融状態において伸長変形下で不均一変形・破断し自由表面を有する成形加工は困難である。Parkら1)はクレイの分散形態の違いが伸長粘度に与える影響を検討し、ポリプロピレン(PP)/無水マレイン酸変成ポリプロピレン(MAPP)/有機修飾ナノクレイにおいて粒子が剥離した系でひずみ硬化性を確認しているが、その理由については十分に分かっていない。そこで、同様のPP/MAPP/有機修飾ナノクレイで伸長粘度を測ってみたが、ひずみ硬化性は発現せず、粒子の剥離以外の要因があるのではないかと考えた。Parkらとのサンプルとの違いはMAPPの分子量であり、本研究ではMAPPの分子量がPP/MAPP/有機修飾ナノクレイの非定常伸長粘度に与える影響を調べた。
実験 / Experimental
サンプルとしてペレット状のPPとパウダー状のMAPP、有機修飾ナノクレイ(mC)を2軸コニカル混練機(Xplore MC15s, Xplore Instruments)で混練した。有機修飾ナノクレイがより剥離しやすくするため、MAPPとナノクレイ(5wt%)を3分混練しマスターバッチ(MB)を作製し、そのあとPPと5分混練した。 4つのMAPPはMw=3.0×104, 変成量3.2wt%(MAPP_3_3.2), Mw=9.0×104, 変成量3.6wt%(MAPP_9_3.6), Mw=1.0×105, 変成量6.1wt%(MAPP_10_6.1)である。ナノクレイは有機修飾ナノクレイ(mC)を使用した。添加量はPP/MAPP/mCの体積分率で67.3/31/1.7とした。ツインドライブ型レオメータ(装置ID:YG-001、MCR702, Anton Paar社製)と非定常伸長粘度フィクスチャー(SER)を用いて測定した。測定温度は200℃である。
結果と考察 / Results and Discussion
図1にクレイ添加量1.7vol%のPP/MAPP/mCにおけるG’の周波数依存性を示す。未変成クレイuC系ではほとんど変化が無いのに対し、変成クレイを添加したものは明らかに低周波数領域に平坦部がみられる。図2にPP/MAPP_3_3_2/mCにおいて、クレイ添加量を増加させた時のG’の周波数依存性を示す。MAPP_3_3.2系は添加量を増やすと高周波数領域のG’は減少し、低周波数領域のG’は上昇した。高周波数領域のG’の減少については低粘度のMAPPの添加量が増えたことで複合材料全体の粘度が下がったためだと考えられる。32.1/64.2/3.7は周波数依存性が小さくなり、94.5/5.5では周波数依存性がほとんどない結果となった。このような挙動は三次元網目構造を持つゲルのレオロジー挙動で見られる。このことから、MAPP/mC添加系では剥離した粒子によって、三次元網目構造を形成していることが示唆される。図3に異なるMw のMAPP 添加系の非定常一軸非定常伸長粘度を示す。低分子量のMAPP_3_3.2を添加した系ではひずみ硬化性はほとんど確認できず、ひずみ1.0 程度で線形の非定常伸長粘度から下方向に低下するひずみ軟化が見られた。伸長時のストランドの観察ができていないが、これは伸長中の不均一変形であるネッキングによると考えられる。一方、高分子量MAPP を添加したMAPP_9_3.6, MAPP_10_6.1 ではひずみ軟化は生じず、弱いひずみ硬化性が確認できた。非定常伸長粘度では高分子量のMAPP添加系において弱いひずみ硬化性が発現した。一つの理由としてMAPP分子鎖が剥離した粒子と相互作用し、粒子間をつなぐ構造を形成したと考えられる。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
Fig1 PP, PP/MAPP/uC, PP/MAPP/mC(67.3/31/1.7)におけるG’の周波数依存性(T=200℃, strain=1~5%)
Fig.2 PP, PP/MAPP/mC における G’のMAPP/mC 添加量依存性(T=200℃, strain=1~5%)
Fig.3 200℃における分子量の異なるMAPPを用いたPP/MAPP/mCの伸長粘度
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
1.J. U. Park, J. L. Kim, D. H. Kim, K. H. Ahn and S. J. Lee: Macromolecular Research, 14, 3 (2006) *成形加工シンポジア23ではベストポスター賞を受賞した。関係各位に感謝申し上げます。
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- 蜂谷祥吾, Sathish K, Sukumaran, 小山清人, 杉本昌隆, “無水マレイン酸変成ポリプロピレンの分子量がポリプロピレン/有機修飾クレイ ナノコンポジットの伸長レオロジーに与える影響”成形加工シンポジア23(山形), 令和5年11月28日
- 蜂谷祥吾, Sathish K, Sukumaran, 小山清人, 杉本昌隆, “相溶化させた2次元粒子/高分子複合材料の伸長レオロジ―", 第71回レオロジー討論会, 松山市、2023年10月19日~10月20日
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件