利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.07.22】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23YG0039

利用課題名 / Title

エチレン系アイオノマーの流動挙動の解析

利用した実施機関 / Support Institute

山形大学 / Yamagata Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マルチマテリアル化技術・次世代高分子マテリアル/Multi-material technologies / Next-generation high-molecular materials(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

成形/ Molding,コンポジット材料/ Composite material,成形/ Molding,高強度・生分解性プラスチック/ High-strength, biodegradable plastic


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

村山 駿介

所属名 / Affiliation

山形大学大学院有機材料システム研究科

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

YG-001:ツインドライブ型レオメータ


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

アイオノマーは、高分子鎖に少量のイオン基を導入したイオン性高分子の総称である。特にポリエチレン(PE)を主鎖とするエチレン系アイオノマーは透明性、強靭性に優れており、包装材やスポーツ用品に利用される。これらの特性の発現は親水性のイオン基がPEマトリックス中で凝集し、直径1nm程度のイオン凝集体が形成するためだと考えられている。そのためエチレン系アイオノマーは主鎖の結晶部、非晶部、イオン凝集体の3相構造が存在する(引用文献1)。これまでアイオノマーの基礎研究はイオン凝集体についての研究が大半であった。しかしエチレン系アイオノマーの特性を知るためには、イオン凝集体だけではなく、結晶部、非晶部にも着目する必要がある。特に結晶部は常温による熱処理時間の長さによって、DSC測定で確認できるアイオノマー特有のTiピークの成長が見られることが分かっている(引用文献2)。つまり時間変化で構造変化が起き、物性が変化することは想像に難くない。我々は金属イオン種の違いと、熱処理の違いによる比較を結晶部に焦点を当てて構造解析を行っている。ここでは、チレン系アイオノマーの粘弾性について評価を行った。

実験 / Experimental

実験試料は三井・ダウポリケミカル株式会社製のEMAA(Ethylene methacrylic acid) ランダム共重合体に金属イオン(Zn2+, Na+ )を中和したものを使用した。そのZn, Naアイオノマーを100:0, 70:30, 50:50, 30:70, 0:100 (それぞれZn, Zn70, Zn50, Zn30, Naと表記)にブレンドしたサンプルと金属イオン未中和のEMAAの計6種類を使用した。各サンプルをメルトプレス後に急冷してフィルム状に成形加工し、常温真空乾燥処理を行った。粘弾性はツインドライブ型レオメータ (装置ID:YG-001)を用いて測定を行った。

結果と考察 / Results and Discussion

DSC昇温過程において、88℃に融点の吸熱ピークTmと50℃付近にはアイオノマー特有の吸熱ピークTiが観測できた。これはPEの微結晶の融解による融解2)が原因であると考えられている。二種の金属イオンが含まれると、Tiピークが高温側にシフトすることから、微結晶サイズが大きくなることが示唆された。粘弾性は、未中和のエチレン共重合体に対して、金属イオン(Zn2+, Na+ )で中和されたものは、その程度に応じて特に貯蔵弾性率が大きく増加した。イオン結合による疑似架橋やイオン凝集体の生成が示唆される。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

引用文献1)     Longworth R, Vaughan DJ, Nature,1968 85, 218 2) 
引用文献2)     Y. Tsujita, et al. Journal of Applied Polymer Science1987 33, 4 1307-1314


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 村山、松葉、2023/10/31 アイオノマーシンポジウム(日本橋プラザビル)Zn,Naイオンを含むエチレン系アイオノマーの結晶構造
  2. Murayama, Imai, Matsuba, 2023/10/12 SmaSYS2023(On-line) Structural Analysis of Ethylene-Based Ionomers Contain Zn and Na ions
  3. 村山、今井、松葉, 2023/11/30-12/1 ポリマー材料フォーラム(名古屋国際会議場) Zn, Naイオンを含むエチレン系アイオノマーの構造解析
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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